夏は夜が遅い。
今はもう19時目前だと言うのに、駅前は未だに明るく、まだ空にはオレンジの部分さえ見かける。
「今日は七夕でーす!皆でお星様にお願いしましょー!」
なんて言いながら駄菓子を無料配布するスタッフのお姉さんの目の前に、にゅっと出される手が2本。
「「下さい!」」
「・・・はい、どうぞー!」
「「やったー!」」
何食わぬ笑顔で紀伊梨にも丸井にもサッとお菓子を出す女性の振る舞いに、一同は尊敬を抱いた。
「プロじゃな、あのスタッフは。」
「他人の振りしよ。」
「ふふふっ。まあ、2人共嬉しそうだし良いんじゃないかな?」
「はい、どうぞー!」
「あ、有難う御座います・・・わあ。」
「お、懐かしいな。」
「桑原君も、これはご存じで?」
「ああ、星見表だろ?」
「風流だな。日本の夏だ。」
「確かになw昨今逆に珍しい和風イベントよねw」
「今日は晴れたままの確率98.08%だ。星も良く見えるだろう。」
柳の言葉になんとなく皆視線を上に上げる。
暗くなり出す濃紺の夏の空。
早くも光り出す数多の星達。
吹き抜ける風に、サラサラ、サラサラ、と囁き出す笹の葉と短冊の音。
今日は七夕。