Festival of ocean:Captive 4 - 1/8



「さて。」

佐川が若干ため息交じりに言った。

「イレギュラーが大分入ったけど、今度こそ本題戻るか。」
「・・・・はい。」

一瞬で鳴海の顔が曇った。

さっきまで丸井を応援していた顔が嘘のようだ。

いや。
どっちも嘘じゃないんだろう。
ここまで一瞬で人の顔を変えてしまう、今の状況の方がおかしいのだ。

「・・・・・・・」

今の千百合はお姫様役と言われている。
囚われのお姫様は、悪い魔法使いの手から王子様が助けに来てくれるのを待っている。

でも。

(・・・・魔法か。)

よく恋の魔法がなんだのかんだのと言うが、恋が魔法と言うのなら、別に自分だけがかかってるわけじゃない。
鳴海だってかかっている。
だからこんなことになるのだ。


『・・・・幸村君。準備良いかな?』






「ゆっきー!頑張れー!」
「気をつけてくださいね!」
「怪我などせんようにな。」

「うん。ありがとう。」

そうだ。
千百合を怪我させるわけにはいかないが、同時に自分も怪我するわけにいかない。

丸井のおかげで大体のコースは把握できるかと思ったが、実際はここから見えないことも多く、コースの全貌が掴めたとは言い難かった。

だが、しょうがない。
だからといって行かない選択は無い。そもそも、丸井が先行してくれたのだって、ただのラッキーなのだし。

「良いです。スタートできます。」

『そっか。じゃあ・・・って、言いたいんだけど、ごめん。直前で申し訳ないんだけど、ちょっとだけルールを変えるね。』

「?」

『さっきの丸井君のクリア状況を見ると、幸村君にはちょっと難易度が低いかなって。』

そうだろうな。
と多くの人が納得した。

丸井がちょっと頑張ってクリアしたということは、幸村ならあまり頑張らないで普通にクリアできるだろう。

「・・・コースの仕様を変えるんですか?」

『ううん。それも今更無理があると思う。時間もかかっちゃうし。


・・・だから、幸村君のときは制限時間を3分縮めるね。』


「!」

周り中がどよめいた。

この手のゲームにおいて、3分は普段の3分と価値が違う。
丸井は比較的足を止めないで進んでいたが、それでも残り時間は50秒程度だった。もしも現在より3分縮められたら、丸井はクリア不可だっただろう。

「・・・ねー、やなぎー。3分短くなったら、どれくらい難しくなんの?」
「どれくらいどころの騒ぎじゃないだろ・・・ブンブン君だって成功率70%だったけど、3分縮められたら無理になるんだぞ・・・」
「柳君・・・・」
「・・・ざっと概算だが・・・・


・・・およそ35%。」


「・・・それはテニス部の数値ですか?」
「テニス部では3~5%まで落ちる。これは幸村の数値だ。」




その会話は幸村にも聞こえていた。

35%か。
ということは、ざっくり考えて10回の内3回は成功する。

上等だ。

「わかりました。」

『・・・・・じゃあ・・・・スタート。』