朝10時。
JR横浜駅の片隅にて、明るい声が響いた。
「えーと・・・あ!おーい!皆ーっ!」
「可憐たんだ!可憐たーん!」
「可憐ちゃん、おはようございます。」
「おはよ。昨日ぶり。」
「あんがとねw遠い所をお疲れw」
「ううんっ!私神奈川って初めてだから、ワクワクしちゃって全然疲れてないよっ!」
可憐は待ち合わせの時間に、ちゃんと横浜駅迄辿りついていた。
「じゃあ、早速だけど私らの地元行こっか。」
「うんっ!湘南なんて、ロマンチックだよねっ!」
「いやいや~、東京には負けますぜ旦那!」
「実際俺らからしたらただの田舎だけどねw」
「雰囲気もどちらかと言うとのんびりめですしね。」
話しながら5人は湘南手前迄の切符を買う。
其処に自転車を停めてあるから、其処からチャリンコ移動である。
電車?車?GWの時の湘南の混雑を舐めるなよ?
「でも、可憐たんってやっぱりそーんなおっちょこちょいじゃないよね!」
「えっ?」
「今日も待ち合わせちゃんと来れたじゃん。」
「実は、氷帝の皆さんからLINEが沢山来てまして・・・」
「ちょい心配してたんだけどねw」
「あ・・・あははっ!」
本当は1本前の電車を目標にしていたのだが、乗り換え間違えで結局ぴったりの到着になってしまった、とは言えない雰囲気。
「お昼何食べたいー?何処でも知ってるよ!湘南博士紀伊梨ちゃんにまっかせなさーい!」
「あんたが知ってんのファミレスでしょ。」
「あう!」
「うーん・・・」
特にあれが食べたい、などとは考えて居なかったのだが。
「・・・何が食べたいって言うよりは、私皆が何時も食べてるものを食べてみたいかなっ!行きつけのお店とか!」
「何時も・・・」
「食べてる・・・」
「もの・・・」
紀伊梨と千百合、棗の視線がそっと紫希の方へ向かう。
「・・・が、頑張ります!可憐ちゃんが良ければ・・・」
「えっ!?何何!?」
「私達、何時も集まる時紫希にご飯作って貰ってるから。」
「そーそー!美味しいんだよー!」
「そうなの!?」
もう数年の付き合いになる幸村含めての5人は、小学校の頃から暇さえあれば一緒に居た。
休みの時には朝から夕方迄ずっと遊ぶ事もザラだったが、その度に外食するような財力なんてあるわけがない。親だって何時如何なる時も昼日中に家に居るとは限らないのだし。
・・・と、思っていたら、紫希が料理のスキルを会得したので、材料とキッチンを持ち回りして、作って貰うようになったのだった。
「紫希ちゃん凄いっ!私料理なんて殆ど自分1人で作れないよっ!」
「私もそんな大した物ではというか・・・」
「えー!上手だよー!私なんて卵焼きも焼けないよ?」
「威張るな。」
「でも、千百合ちゃんと棗君もお上手ですよね?」
「食べれるってだけよ。面倒くさいし。」
「自分で作るより作って貰った方が美味いからなーw」
「皆凄いね・・・!」
砂糖と塩をしょっちゅう間違える可憐にとっては、食べられるだけで充分羨望の的である。
「じゃあ、折角だし紫希ちゃんのご飯が食べたいなっ!」
「分かりました。メニューは何を・・・」
「カレーが良い!」
紀伊梨はこういう時とても素早い。
「馬鹿、可憐が選ぶの。」
「あははっ!でも、私もカレー好き!良いかな、紫希ちゃん?」
「分かりました。じゃあ、家に向かいがてらスーパーに寄りましょう。」
「本当に良いの、可憐?」
「別に紀伊梨に合わせなくて良いよw」
「ううん!私カレー食べたいよっ!それに、何だかお出かけ先で食べるカレーってワクワクしない?お休みだって感じがして!」
「さっすが可憐たん!話が分かるー!」
「調子に乗んな。」
「あだっ!」
お喋りが絶える事の無いまま、湘南行きの電車に乗り込む5人。
GW4日目は、初めて出来た他校の生徒の友達と、である。