「なあ。」
「うん?」
「なんで俺、店の中まで付き合わなあかんのん?」
恵里奈は、買い物中に「これどっちがええかな?」「あっちの色私に合うと思う?」とか話しながら買い物がしたいのだ。だから忍足を連れて来た。
3人と同行という事になり、あれ?これ俺、もしかしたらその辺の椅子に座って待っててええやつとちゃう?春日さん達が相手してくれる奴とちゃう?と俄かに希望が生まれたのに、それはいざ店の前まで行くと、綺麗にかき消されたのだ。
「えー、何言うてんのん。侑ちゃんのお友達やのに、侑ちゃんが付き合わへんでどないするんよ冷たい子やなあ。折角湘南から、はるばる来てんのにから。」
(こういう時ばっかり反論しにくい事言うやろ・・・)
「それにそれに、おっしーは男の子だもんね!今日はなっちん居ないから、男子の意見が欲しいなーって紀伊梨ちゃんは思ってたんですよっ!」
「五十嵐さん、今出せるのんは俺の意見やからな?男子の意見とはちゃうからな?」
自分の意向が男子の総意とか思われても困るのだ。
別にファッションとか流行にそんなに敏感なわけでもない、それもレディースの方なんて。
「えー、でもなっちんが女の兄弟が居る男って結構女の子のファッション分かってるからーって言ってたよ?」
「だからそれも・・・」
「ええやん、見たりいな。そないに大変な事でもあらへんやん。」
「はあ・・・」
「わーい、やったー!」
「後で何かお礼をしないとですね・・・」
「良いんじゃない?紀伊梨が居なくてもお姉さんの方に付き合わされてそうだし。私らは私らで見よ。」
「はい。あ、でも千百合ちゃん。」
「?」
「千百合ちゃんは、忍足君から何も聞かない方が良いですよ。」
「いや、元々聞きに行く気はないけど。」
「でなくて、千百合ちゃんの水着に忍足君の意見が入ったとなると、幸村君は面白くないと思いますから。」
「・・・・・」
「ですから、もし忍足君の方から親切でこっちも似合うと思う、とか言って下さってもそれは辞退した方が良いかと。」
そうか。そうかな。
そこまで細かいか?と思わなくもないけど、幸村はそう思いそうではある、確かに。
「・・・じゃあ、止めとく。」
「ええ、その方が。忍足君は気の付く人なので、そうでなくても千百合ちゃんには何も言わないでいてくれるかもしれませんけれど。」
「紫希ぴょーん!千百合っちー!選ばないのー!?」
「は、はい!行きます!」
「ああ面倒くさ・・・」