「スイミングも習った事無い!?」
とてもとても大きい声が忍足のクラスに響き渡った。
今日は水泳大会だが、午前中授業はある。
授業の合間の休み時間、忍足のクラスメイト達は彼奴どう勝つつもりなの?という話で盛り上がっていたのだが。
「俺、あるて言うてたやろか?」
「いや、言ってなかったけど・・・」
「え、お前やばくね?勝てんの?」
「最善は尽くすわ。」
「尽くすって言ったって、今から何を・・・」
「今から何をどうすんねんいう話は、もう分かってた事やさかいなあ。」
そう、当日になってじたばたした所で・・・という話をするのなら土台受けるべきではなかったのだ。
「あ、あのー・・・忍足君?」
「?」
「あの!何か出来る事あるかな?何かあったら、私達協力するけど!」
ね、と数人の女子が頷き合いながら近づいてきた。
(出来る事なあ・・・)
気持ちは有難い、気持ちは。
でも、今一番して欲しい事は?と言われると。
「ほんなら悪いねんけど。」
「うん!」
「静かにしといてくれへん?イメトレしたいねん。」
「「「「・・・・・・・」」」」
それはあれなんだろうか。
却って邪魔だからぎゃあぎゃあ騒ぐなという事だろうか。
それとも本当に勝利への糸口がイメトレという事だろうか。
いや、ないだろ。
この期に及んでイメトレって。
何か言おうにも口も出せなくなった外野を他所に、忍足はすう・・・と息を吸って目を瞑った。
イメトレ開始。
さあ、イメージして。
そんなに沢山知ったわけではないけど。
でも、多少は分かるようになった筈だよ。