Booty 2 - 1/9



昼食が終わると、生徒たちは皆ぞくぞくとプールに向かい始める。
忍足も例外ではなく、さっと荷物を纏めて大会の準備である。

結局彼奴本当にイメトレしかしてなかったけど・・・なんて視線を背中に感じつつ教室を出て廊下を曲がると、丁度同じ方向に行こうとしていた跡部とばったり鉢合わせた。

「ああ。」
「おう、忍足。今から向かうのか?」
「せやで。」
「聞いたぜ。なんだか面白そうな事になってんじゃねーの。アーン?」

やはり知っていたか。
いやまあ、この状況で跡部に知られてなかったらそっちのが逆に驚きだけど。

「こっちは何にも面白ないねんで。」
「何言ってやがる、面白いから引き受けるんだろうが。面白くねえ勝負なんざ、時間の無駄だぜ。」
「引き受けなあかん勝負いうのがあるやろ。」
「今回の勝負がそうだと言うんなら、俺様は構わねえよ。」

言外にそうは見えないんですけどね、と匂わせてくる跡部だがそう言われてもこっちも困る。そっちにそう見えなくてもこっちにはそうなんだよ。

・・・その筈だ。

「で?」
「ん?」
「勝算はあるのか?頼みがあるなら手を貸してやってもいいが。」
「・・・手伝うてくれる気はあるんか。」
「やるからには勝て・・・というのも今回の状況としては厳しいが、あまり無様な負け方をして貰っちゃあな。お前と網代が一度に絡んでる所為で、バスケ部とテニス部での女の取り合いみたいに見てる連中も少なくねえんだ。」
「ああ。」

そんなつもりはなかったけど、まあそういう風に見る人が居ても責められまいなとも思う。
実際問題、3人纏めてバスケ部だったりテニス部だったりしたらこんな成り行きはならなかっただろうし。
いや、そこまでいかなくても網代がバスケ部だっただけで話が違っていたかもしれない。

(・・・茉奈花ちゃんがバスケ部やったら、か。)

もし本当にそうだったら。自分はどう日々を過ごしていただろう。

「忍足?」
「ん?ああ・・・まあ。勝算はあるで、一応。」
「一応か。」
「確実やとは流石に言われへんわ。今自分も言うてたけど、何せ急やったもんやから。」
「まあな。」

とは言いつつ、忍足が慎重派なのは跡部も知っている。
「一応」とか言ってるが、実際問題そこそこ良い手を持ってはいるのだろう。それで勝つ所まで行けるかどうかはちょっと置いといて。

「手を貸して貰う言うたらそうやな・・・出来るんやったら、成績ええ水泳部の人間の顔を覚えときたいねんけど。」
「アーン?それはその気になれば10分程度で出来ると思うが。」
「おおきに、助かるわ。」
「他には良いのか?」
「十分や。後はまあ何本か練習して、思い通りに行くかいう所やな。」

とか言いつつ、思い通りに行かなかった場合のことは考えない。
大概思い通りに行くからだ。問題はその後。

思い通りに出来た結果が相手に追いつくか。
今回の博打の肝は其処である。