「あ・・・」
「ん?」
「む。」
C組の面々のスマホが一斉に鳴った。
無論、紀伊梨と丸井に来たあのLINEと全く同じである。
「あー。あれか。」
「千百合ちゃん、ご存知ですか?私何のお話だかわからなくて・・・」
「ああ、彼奴ら言ってないんだ。あのね、」
「このメッセージが来るという事は、許可が下りたのだな。」
柳伝いに真田も事の次第は知っていたが、それだけに「なんで下りるんだよ」的な思いも去来しないではない。物は言い様と言うが、精霊探しの何処が勉強と認められたのだろうか。
「・・・で、そのチームを分けたいんでしょ。」
「くじやじゃんけんで良いのではないか?」
「くじやじゃんけんだと、男女比や人数が偏るかもしれませんからそれが嫌なんじゃないでしょうか?」
「そう?」
「他に理由があるのか?」
「兄貴なら、面白そうだからってだけの理由で、この手の事聞いてくるくらいはするわよ。」
それこそ、本当に男女比とか人数とか気にしているのなら、向こうで一方的にチームを決めてしまえば良いのである。此奴とは絶対組みたくないとか、今のこのメンバーで人間関係の事でうだうだ言うような奴は居ないだろう。
だからこれは、どうせならなるべく希望を聞いてやろうという親切半分と、もう半分は面白いからだ。きっと。
「ふむ。まあ理由は構わんが、誰と言われても特に強い希望など。」
「まあね。誰でも良いって返すか。」
「おい。」
「何よ。」
「何ではない、お前は誰でも良くはないだろう!」
「はあ?誰でも良いっつってんだろ、何なんだよ!」
「お前と言う奴は幸村というものがありながら!」
「それとこれと関係ないだろ、いちいち引っ張り出してくんなよ!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!落ち着いて、落ち着いて・・・」
「お、おい真田に黒崎!って、ああ・・・」
「先生、いつも春日さんより止めるの遅いよねー。」
「ごめん・・・至らない先生でごめん・・・」
「あの、兎に角誰かは選んで返事をしましょう?早い方が良いですし・・・」
「選ばなくて良くない?」
「でも、こういう時は誰でも良いと言われると多分棗君の方が困ってしまいますから。仮に皆が一斉に誰でも良いと言ったら、全然参考になりませんよ。1人で良いですから、選んでしまいましょう。」
「んん・・・・」
「真田君も、誰を選ぶべきかとかそういう事は言いっこなしにしませんか?」
「しかし、」
「仮に誰を選んだとしても、千百合ちゃんが選ばなかった人を嫌いだとかその人を大事にしてないだとかそういう事にはなりませんよ。真田君も、選ばなかった人から友情を疑われたらそんなつもりじゃないのにと思いませんか?」
「む・・・・」
「それに、ほら。あくまで希望ですから、返事した通りになるとも限りませんよ。最後に決めるのは棗君にやって貰う事になりますし、もっとこう・・・深く考えないで、誰とだったら精霊探しが捗りそうかを考えませんか?」
「「精霊探し・・・」」
その響きに、千百合と真田は一気に肩の力が抜けた気がした。
そうだったね。つい熱くなってしまったけど、そもそもの目的はそれだったね。
「・・・何か頭が冷えた思いだ。」
「さっさと返事しよ。」
「ええ、そうしましょう。」
ほっとした紫希だったが、此処で小さな問題が1つ。
実は他ならぬ自分が、一番こういうのが苦手なのである。
(選ぶと言っても、誰を・・・本当に誰でも構わないんですけれど、そうとは言えませんし・・・)
さくさく返事する千百合と真田をよそに、紫希の手は長らく停止したのだった。