Camp school:Cowardly spirit 2 - 1/6



リーダー真田のBグループは、どこより早く方針を決めて出発した。
探索範囲として許されているのは麓の町限定。ということで、探索範囲を狭めていくに当たって外回りをぐるりと一周する。とは言いつつ町の中でも山の部分は歩ききれないので、きっちり1周は出来ないが。

「存外明るいな。」
「まだ21時にもなってませんし、大抵のお店は開いていると思いますから。人も居ますし、安心感はまだありますよね。」
「そうなのか。」
「そうなのかって・・・家の周りも今の時間はこんな感じだろ?」
「俺は基本的に、平日帰宅したら外には出ん。用事もなければやる事も多い。」
「ああ・・・」
「そうなんですか・・・」

大体家で何やってるか想像はつく。
勉強とか、修行とか、多分そんな感じだ。基本早寝だと聞いたこともあるし。

「逆に聞くが、お前達はこんな時間に外をうろついているのか?」
「俺はなんていうか、ほら・・・店がそもそも遅くまでやってるから、コンビニにお使いとか。」
「桑原君ってお家が自営業でしたよね。お疲れ様です、いつも。」
「む・・・そうか。事情あっての事なら仕方がないな。」

紫希も真田も、自分の家がそうではないからどうしても「自営業者の事情」と言う奴には疎い。どこの家庭にも大変な事はそれぞれあるけど、こういう悩みは親が雇われの身ではあまりピンとこないのだった。

「春日は?コンビニとかか?」
「そうですね。そんなに頻繁じゃありませんけどノートとか文房具が足りなくなったり、電子辞書の電池が切れたり。」

それから、恥ずかしいから言わないけれど読んでた本の続きを買いに行ったり。
今月お小遣いが厳しいから、上下巻の下巻は来月に買おう・・・とか思っていたのにどうしても続きが気になって、近所のT/S/U/T/A/Y/Aに向かってしまう事もしばしば。

「そういう事は常に気をつけておけ。勉学に励むのは大いにやれば良いが、理由があっても女子が夜にうろつくのはトラブルの元だ。」
「まあ、そうだな・・・春日は特に、やり返せないし大声も出せないタイプだろうしな。」
「そうなんですよね・・・一応防犯ブザーはいつも持ち歩いてるんですけど。」
「今は催涙スプレーなども売られている。有効活用しろ。」
「そ、そこまでするか?」
「たわけ!まだ足りんくらいだ、犯罪はいついかなる時でもどこかで起こっているのだぞ!」
「そ、そうか・・・」
「そもそも!五十嵐がその筆頭だが、どいつもこいつも幽霊だ精霊だを怖がる前にもっと生きている人間の方を警戒せんか!生きている者を襲うのは、いつの世も同じように生きている者だ。死者に敬意を払うのは当然だが、死者が此方を襲える道理など無い。」

所謂「死んだ者より生きている者の方が怖い」理論である。
警官である祖父を尊敬して止まない真田はこの手の話にとても詳しい。故にどうしても口を出さずに居られない。千百合はこういう所を鬱陶しがっているが、根本にあるのはどうものほほんとして見える友人達を放っておけない正義感というか、自分が守ってやらないとというちょっとした使命感みたいなものだ。

まあこの辺に関しては紫希も桑原も神経過敏だよ、とは言えない。
実際数か月前、本物の人さらいを見たばかりだし。

「今のような時でも気を抜くな。明るかろうと人通りがあろうと、危険が無い事の根拠にはならんのだ。」
「まあそうだよな・・・」
「気をつけます・・・」

とは言いつつ。
この3人で固まって行動して、にっちもさっちも行かないようなトラブルに縺れ込む可能性は低いと3人共思っている。

が。

僅かに15分後、散会を余儀なくされる事を3人の誰もまだ知らない。