Camp school:With memories 1 - 6/7


丸いフォルム。
極端に窄まっている口。

キラキラと乱反射するよう加工されつつ、彩度を落として黒と銀で纏め上げられた花瓶の名は「閉ざされし星空」という。これも又、小出光機の作品の一つである。

「綺麗だね!」
「はい、綺麗ですね。千百合ちゃんもそう思いませんか?」
「別に。」
「どうでも良さそうだわねえ。」
「どうでも良いもん。」

4人は順路に従いさくさく見学を進めていた。
紫希は元々こういうのは嫌いではないし、真面目な性格もあって一つ一つ律儀に立ち止まる派だが、千百合は逆に何を見せられても基本「ああ、そう。」としか思わない。

「千百合って、本当こういうの興味ないよねー。」
「ねー。なのに彼氏は美術大好きってんだから不思議なもんだわあ。」
「ほっとけ。」
「でも、千百合ちゃんだって全然何も見てないとか思ってないとか、そういうわけじゃないですよ?」
「そうなの?」
「はい。偶にですけれど、それは好きとか良い感じとか仰ってますよね?」
「ああ、まあ。偶にね。」
「へー!そうなんだ、見たことない。」
「ほほう・・・」
「何よ。」
「いやいや・・・時に千百合?あっちの金魚鉢とかどう?」
「どうって何よ。別に何も思わないけど。」
「じゃ、あっちのグラスは?そっちの水晶玉は?」
「何、急に!鬱陶しい!」

「あ、あれ?千百合ちゃん、桃美ちゃん、」
「あーあ、連れてっちゃった。まあ、途中で桃美も飽きるだろうし、こっちで回ろうよ。」
「そ、そう?ですか?」

良いんだろうか・・・と思っている間に江野は半ば強引に千百合を連れて行ってしまった。

「あっ、こっちにも水晶玉がある。結構水晶玉ってあるんだね、占い師の人しか使わないイメージなのに。」
「水晶玉は、一般の方でも使えますよ。」
「え?そうなの?」
「はい。水晶玉に予言が映るとかそういうわけじゃないですけれど、枕元に置いておくと夢見が良くなるという話がありますから。」
「よく聞きますね、そう言った話は。」
「あ、柳生君。」

振り向くと、通りすがった柳生がちょっと苦笑していた。

「うちの妹も、そういうのが好きでして。部屋のそこかしこに水晶やパワーストーンの類が置かれていますよ。」
「柳生君も妹居るんだ。」
「ええ。そういう年頃なのもあるんでしょうが、のめりこんでしまっていて。」
「あはは・・・でも、女の子らしくて良いと思います。」

小学生にして、星座や血液型占い云々を早々に通り越しパワーストーンや水晶に興味を持つ。
なんだかそれだけで若干おハイソな雰囲気があるが、柳生家の女子と言われるとなんとなくしっくりくる。

「でも、やっぱり女子たるもの幾つになっても占いやジンクスは楽しいよねー。凝る、まではいかなくても参考程度にって感じで。」
「そうですね。全面的に信じるわけじゃなくても、風向きが良いといわれると嬉しいですし、良くないと言われると気になりますし。」
「・・・・・・」
「柳生君?」
「あ、やっぱり男子的にはよくわかんない話?」
「ああ、いえ。寧ろ今、逆のことを考えていまして。」
「?」
「占い。ジンクス。言い伝えに呪い(まじない)。科学で証明されていないからと言って、あり得ないと切って捨てるのも問題なのだな・・・と。そう思ったんです。」

(あ・・・)

柳生は昨晩の事を思い返しているのだろう。
柳生自身は大した霊障には遭ってはいないが、それでも今朝試したらちゃんと繋がった教師への連絡が、昨晩だけは確かにぷっつり切られてしまった事は自分で実感した。

「まあ、元々科学の信奉者だったわけでもないのですが、それでもやはり考えが変わりましたよ。」
「え・・・あ、え?何かあったの?」
「き、昨日の夜間学習の時に、ちょっと。不思議?な事が・・・」
「へー、そうなんだー!私も行きたかったなー、面白そう!」

割と危ない場面もあったんだし、一概にただ面白かったかどうかは。
無邪気に羨ましがる堀江に、紫希と柳生は苦笑した顔を見合わせたのだった。