「おー!」
早々にストラップの封を開けて、鞄に着けて紀伊梨はご満悦である。
「あー、でもやっぱり簪も欲しかったなー!」
「両方買っても良かったんじゃない?」
「お小遣い足りなかったんだよにー・・・」
「紀伊梨は買い食いし過ぎじゃない?」
「そんなことないもーん!」
「おお。」
「お?ブンブンどったの?」
「いや、柳からお前がすげえの買ったとか聞いたからどんなのかと思って。」
見てみたら本当に凄くてびっくりした。
何その真っ赤っ赤は。火をぶら下げて歩いてるみたいだぞ。
「良いっしょ、良いっしょー!かっこいー運命の人が出来そーで!」
「かっこ・・・おう、まあ。うん・・・」
かっこいいというより。
なんというかこう、気性のお激しいお人が来そうですね、と思う丸井はやっぱり勘が良い方なのである。
「ほらほら皆さん。そろそろ出発致しますわよ。」
上里が促し、立っていた生徒が座りだした時、紀伊梨と丸井のスマホにLINEが来た。
「ん?」
「なっちんからだー!入口だって、えーと入口入口・・・あ!」
観光客が行き交う中、とっても目立つ着流しスタイルの青年。
松風が笑って手を振っている。
「松風のおにーちゃんだー!」
「へえ。わざわざ来てくれたんだな。」
「楽しかったなー・・・又来たいから、皆で来よーね!」
「え。」
「え?」
「・・・楽しかった?」
「え!?ブンブン楽しくなかった!?」
「いや楽しかったけど。」
自分は置いといて、紀伊梨は楽しかったのか。あんな色々な・・・というか稀有な経験を山盛りしておいて。
でも紀伊梨の目のきらめきが、本当に楽しかったと思ってることを何より雄弁に語っているから。じゃあ、良いか。
「来年位に行けないかなー。あ!修学旅行!修学旅行あるよね!」
「いや、修学旅行は行先違うだろい?」
「そうなの!?」
「逆になんで一緒だと思うんだよ・・・お?」
ポケットに入れていたスマホが鳴って、丸井は身を乗り出すのを止めてちゃんと着席した。
(誰だ・・・「いく」?いく、いく・・・)
「・・・一条?」