Rudeness 1 - 6/7


あの、入学式の日。
跡部は氷帝学園と、男子テニス部を圧倒的なカリスマとパワーでその支配下に治めた。

逆に言えばあの日、その支配下に下る事を余儀なくされた者が居る。
それがマネージャーのリーダーであった、落合結月であった。

「・・・・・」
「落合さんはな。マネージャーとしては優秀やと思うたし、テニス部の活動にもほんまに一生懸命やったわ。マネージャーの人達皆、落合さんの事信頼してたし。」
「じゃあなんで・・・」

これを言うのは流石に酷だとは思う。
だが、事実なのだから仕方がない。

「・・・簡潔に言うと、子供やったんやな。」
「え?」
「確かに落合さんは出来るマネージャーやったわ。でもなんちゅうか、やっぱり目配りとか色んな意味で茉奈花ちゃんの方が優秀やねん。」

その辺り、やはり跡部の人を見抜く力は流石と言える。

「実は最初はな。今居る人達を辞めさすとか、そういう話やなかったんや。でも落合さんがな・・・」

落合は言った。
網代の下で活動するなんて出来ないと。

「・・・どうして?」
「茉奈花ちゃんが「1年生」やったからや。」

誰かの上に立つなら、優秀な人物、人望のある人物であった方が良い。
その事は落合達、辞めたマネージャー陣とてわかって居た。

しかし、同時に彼女達は痛い程に中学生であった。

家族。
友達。
彼氏に彼女。
学校。

世界は広く、しかし其処に行く資格はまだ無いが故に世間は狭い。現代日本に生まれて暮らす者ならば大凡の者が囚われる、「中学生」というスノードームの様な時代。

年なんて一つしか違わないのに、上級生がびっくりするほど大人に見えたり。
先輩という響きに心躍らせてみたり。

そんな彼女達にとって、やっとやって来た「自分達が3年生である」という青春時代。
それが、跡部によってリーダーを網代にーーー「1年生」にされてしまった事は、落合達に大きな衝撃を齎した。

「・・・・・・」
「・・・跡部のやってる事は、間違うてへん。長い目で見たら、今の状態に早く持って行くのがベストなんや。でもな。」

此処は会社じゃない。
社会じゃない。
世界じゃない。




中学校なのだ。




其処に住まうスノードームの住人に向かって、

「長い目で見たらお前らを下にする方が得だからそうする」
「これからの為に我慢しろ」
「大局的に物事を判断しろ」

と言われたって、そんな事出来ない。

出来なくて当たり前である。
それを要求する方が酷なのだ。

しかもこんな、予測しろと言っても不可能なような場面で。なんの問題も無く進級し、部活をし、もしかしたら年度末の時には、「これから3年として、気合い入れて頑張ろう」なんて決意表明しあったかもしれない。

それを崩された。
そして王は言ったのだ。




「不満なら辞めろ。トップに立つ事を第一に考えられない部員は、必要ない。」




自分の思い描いていた青春。
手に入る筈だった輝ける季節を、部をトップにする為に全て出せと言われて、分かったと頷ける女子中学生が如何程居るだろうか。




落合は、出せなかった。