「やばいwまずいwやばいw」
「もー!なんでなんでー!?紀伊梨ちゃん達ちゃんとしてたじゃーん!」
「ふざけんな、こんな日に限って!」
「はあ、はあ・・・ああ後20分です・・・!」
4人は炎天下の中、とっても走っていた。
なんと、電車を降りて乗り継いだバスが事故に巻き込まれて遅れたのである。
時間通りであれば余裕を持って会場に到着できたのに、結局ギリギリどころか開会式を見逃してしまう事態。
もう諦めてちょっと遅れて行ったら。なんて事は考えられない。
そもそも今日は1戦しかしない上に、幸村の試合が確実に見られるのはこの最初の1戦だけなのである。見逃してみろ、後悔してもしきれない。
「どっち行ったら良いわけ?」
「ええと、案内板、案内板は・・・」
「やべえw焦る焦るw」
「もー!早く行かないと試合始まっちゃうよー!」
「・・・ねえ。もしかして、道に迷ってるのかい?」
そうですその通り、と思いながら4人は振り返った。
そのユニフォーム。そのロゴ。幸村から聞いたことが。
「六角中。」
「あれ、知ってるんだ。」
「誰ー?どこー?」
「知ってるって程じゃないわよ。ちらっと聞いてただけ。千葉の強い学校だって。」
「おっ、嬉しいね。強いって思われてるんだ、俺達。」
「でも良かったwおたくらもテニス部なんでしょw助けてw」
「あの、私達応援に来たんですけれど、コートの場所が分からなくて・・・」
「ああ、やっぱり迷子だったんだ。」
「サエ!やっと見つけたのね、今日の調整の事で話が・・・ん?その人達は、サエのお友達?」
「いっちゃん!違うんだ、友達の応援に来たんだけど場所がわからないらしくて。」
「あら~、それは大変なのね。此処はコートが2個づつで離れてるから、遠い方に行きたいのなら、今からで試合開始に間に合うか微妙なのね。」
「えええええ!?」
焦ってる時に更に焦るような情報を追加されて、俄かにパニック度が増す一同。
「ちょっとちょっと、それは困るよ!」
「最悪、ダブルスは見逃しても良いんじゃない。」
「それでも怖いだろw基本的にあいつら、試合が長引かないんだぞw」
「あの、あの、皆私を置いて行っていいので走って下さい、紀伊梨ちゃんくらいのスピードで向かえればなんとか、」
やばいやばいとパニックに陥る4人に、居合わせた佐伯と樹は顔を見合わせて苦笑した。
「まあまあ、焦っても良い事は無いのね。間に合わないって限ったわけでもないし、一先ず落ち着くのね。」
「いっちゃんの言うとおりだよ。取り敢えず、どこの学校を見たいのか教えてくれるかな?此処に各学校と、コートナンバーが全部書いてあるから。」
佐伯はポケットからトーナメント表を取り出した。
立海大附属中学対中薮谷中学校。
コートナンバー・4。