その可憐は、跡部のリムジンに乗せられて、遅刻せず無事到着したところであった。
「あ・・・危なかった・・・」
「樺地、ジローを頼むぞ。」
「うす。」
テントに着くと、早くも到着した者達が準備を進めている。
「可憐ちゃん、おはよう!」
「おはようさん。」
「2人ともおはようっ!」
「可憐ちゃん、今日もリムジンだったの?」
「あ、あはは・・・ダイヤ間違えちゃって、危うく遅れるところでした・・・」
「あらら。」
「まあ、間に合ったんやからええて。」
「そう言ってもらえると・・・あ!ええとそれで、今日のこれからの作業は、」
「ああ桐生、お前は掃除だ。誰かマネージャーを一人連れていけ。」
「掃除っ?って何っ?」
「この運動公園の掃除よ。各校2人づつ出て、公園全体の清掃をするの。試合時間に縺れ込むから、そこだけ注意してね。」
「そうなんだ。わかった、じゃあ私、行ってくるねっ!他に誰か・・・あっ!真理恵だっ!真理恵・・・」
「可憐ちゃん、待った。」
く、と優しく、でも強く右肩を抑えられて、可憐は立ち止まる。
「えっ!?お、忍足く・・・」
「これ。」
「え?」
「被っとき。」
キャップ付きの帽子を被せられて、更に目の前にもう一つ差し出される。
「これはもう一人の分な。ちゃんというたら変やけど、ほどほどに手抜いて日影に居るんやで?」
「あ、うんっ!」
「それから小銭も持って行き。方々に自販機あるし、途中で何か買って飲んだらええわ。絶対無理はしたらあかんで?体温と発汗には気配っといて、」
「わ、分かったっ!大丈夫っ!大丈夫ですっ!って、あ!真理恵、行かないでっ!手空いてるっ?」
新城の元に駆けていく可憐の背を見送りつつ、忍足に網代、そもそも指示した跡部までもがちょっと不安顔。
「・・・大丈夫やろか。」
「まあ、今回一人じゃないし、ね?」
「でも清掃やろ?いざ始まったら固まっては居られへんやろ。」
「「「・・・・・・」」」
過る一抹の不安。
「はあ・・・仕方ねえ、ヘリで監視するか。」
「そこまではせんでええねん。」
「ほら部長様、携帯はしまうしまう。今日は来客も居るのよ、しゃんとして。」
「ああ、そうだったな。」
「?誰か来るん?」
「幼稚舎のテニス部志望者よ。見学に来たいんですって。」