First region competition:Second round - 7/9


「2人とも大丈夫でしょうか・・・」

ちょっと時を戻して、D2が始まりだそうかという頃。
紫希と紀伊梨、それからついてきた千石は立海側の庇のある観戦席に座っていた。

「まあまあ、黒崎君が居るんだし手荒な真似は彼もきっとしないよ。」
「そうかも知れませんけど、でも棗君は今日ちょっと調子が悪そうで・・・」
「そうそう!それに喧嘩にならなくってもさー、千百合っちやゆっきーを連れてかれるのは紀伊梨ちゃん達困っちゃうわけなんですよ!」
「いやあ、それもびっくりだよね!何の話をしてるんだろうと思ったら、まさか引き抜きだとは。しかもシーズン真っただ中に。」

いやあ全く、なんてちょっと演技がかった素振りで頭を振って見せる千石だが、内心はかなり真面目に事のあらましに驚いている。

スカウトはそりゃあしばしば見受けられる話とはいうものの、流石に夏の大会真っ只中になんて普通はやらない。
今居る選手達の士気に関わるからだ。
お前らは当てにならない、とスカウトする者から宣告されているも同然。

それでなくても皆春からこつこつ練習して、お互いを知ってチームワーク力を高めていかなくてはいけないのに、そこにいきなりレギュラー格の新参なんか入れたら衝突は必至だ。
コーディーネーション理論を採用している華村に限って、それがわからないでもなかろうに。

(いや、でも・・・これはその辺のデメリットを許容してでも、幸村君が欲しいってことなんだろうなあ。)

同じ1年生のプレイヤーながら、高く見られたものである。
ちょっと羨ましい。

「というか、千石君はご自分の学校の方は良いんですか・・・?」
「ん?ああ、良いの良いの!これも勉強だからね。」
「ほんとー?試合出ないのー?」
「うーん、流石の俺でも今年度レギュラーはちょっと厳しいかな!来年度はきっと試合するから、良かったら応援してね♪」
「おお!うん、行く行くー!」
「はい、良ければ行かせていただきますけど・・・・」

(本当に良いんでしょうか・・・)

他人事ながら、良いのか本当にそんな緩い事で・・・と思ってしまう。立海がその辺厳格だから、余計にそう感じるのかもしれないが。

「ではこれより、立海大附属対苗場中学、D2の試合を執り行います!」

「おっ、始まるよ!」

さてさて、どんなものか。
お手並み拝見といこう。