First region competition:Semi final round 1 - 4/10


「えーーーーーーー!」

紀伊梨の声はこの騒めきの中でもよく通る。

「ねー!ちょっと待ってよー、そんなの無しでしょー!」
「いや、でも仕方なくない。」
「続けられないもんなー、実際問題。しっかしこんな形で1勝もぎとって来るとは・・・・」

相手は何も言わない。
謝罪もしない。
わざとだろうということは観客側にも伝わってくるが、実際わざとかどうかなんて本人達以外誰も分からないのだから、わざとじゃないよ悪かったよごめんねと言われたら、それ以上もう何も言えない。

しかし、思いついたからってこんな事をマジでやるのか。

「・・・・・・」

千百合は今、正直胸糞が悪い。
しかし、それはそれとして冷静な部分の自分は「成程な」と思っていた。
まあ勝てまいとは思ったが、こういう手もあったか。

ただ、まあ、二度目は通用するまい。
こんな事の連続で勝利を納められるほど立海はーーー幸村達は甘くない筈だ。

多分。
きっと。

いや、だが勝てるとしても。

(・・・精市達にも、こんな調子でケガさせるつもりじゃねえだろうな。)

スカウトしたい選手とか、協力を仰ぎたがってる人の友達に奇襲を仕掛けるなんて、流石にそこまで馬鹿じゃないとは思うが。
いやでも、華村ならするかもしれない。悪かったわ、でも勝つためよ、とかさらっと言って。それに幸村は置いとくとしても、真田や柳辺りまではケガさせて良しと判断される可能性もある。

しかし、分かっているのだろうか。
それをやったらその時点で、千百合は絶対そっち側に回ってなんてやらないということを。

(ま、私の事も調べてるっぽかったから何をしたらこっちがキレるかってのもわかってるんだろうけど。)

分かってる上で、そのギリギリを攻めてくるつもりだ。
今の状態がその証拠。
お友達じゃないんだし良いでしょ?ってなもんなのだろう、向こうからしたら。

「千百合っちー!」
「何?」
「あっちの学校めーっちゃ感じ悪いんですけどー!ほんとーにあんなとこ行くの!?ねえ!」
「それを今から決めるの。」
「もー無しで良いじゃーん!あんな意地悪するがっこーに行ってどーすんのさ!」
「・・・・・」
「ねー!聞いてる、」
「まあまあ、落ち着けw別に行くって決まったわけじゃないんだ、考え中だよw」
「うー・・・・」

(・・・あんな学校に行ってどうする、ね。)

分かってる。
こんなやり方すんのかよと思っても。


勝つためなら。