First region competition:Semi final round 2 - 2/7


「プレイ!」


ざ。とコートを靴が踏みしめる音。

お互いに構えて、サーブは幸村から。
そこからラリーが始まった。

「はっ!」

「フッ!」

今、2人とも攻めをそれぞれ後回しにしている状態である。
幸村は相手の出方というかスタンスを見たいし、平川は幸村のスペックを今ラリーの中で測っているのだ。

「ふっ!」

「ッ!」

「はっ!」

「ハアッ!」

「はっ!」

「・・・フン!」

スピードが急速に増した。
でも返せる。

「はあっ!」


ドン!


「15-0!」

平川は自分の斜め後方に付いたボールの後を見た。

(返せるのか・・・・)

今のは決まったと思った。

スマッシュでこそなかったけど、回転が上手くかかったしスピードも乗せたし方向的に空いている所だった。
決まる条件が山ほどあったのに決められなかった球。

これを当たり前みたいな顔して返されると結構辛い。
じゃあどういうショットなら入るのという話になるからだ。
向こうの体力が削れて来たら入るかもしれないが、おそらくその前にこっちの負けが決まる。

「クッ!」

「はっ!」


「30-0!」


どうする。
あのショットを打つか。

でも。

「オラ!」






『新技・・・ですか?』
『ええそうよ。貴方ならきっと物に出来るわ、平川君。』
『・・・・はい!』







「ふっ!」

「ラアッ!」






『あ、先せーーーー』


『どうして急に平川を?』
『あら、桜庭君。珍しいじゃない、貴方が他の子の事を気にするなんて。』
『まあほら。彼奴のおかげで俺はレギュラーから落ちた、みたいなところありますんで?で、どうしてなんですか?』
『関東大会が近いからね。レベルアップ出来るのであれば、今からでもするべきでしょう?』
『そりゃまあ。』
『それに、彼にはやって欲しい事があるの。』
『それって、勝つ以外にって事?』
『そうよ。彼にはあのショットを身に着けて貰ってーーー

ーーーそして、幸村君に私の理論を体現して見せてあげて貰いたいのよ。』


別に良いじゃないか。
ショットを教えて貰えることには変わりないんだから。

自分でもそう考えたし、もし華村本人に言ったとしても、同じ返事が来ただろう。
そういうビジネスライクな所が好ましくて、それで城成湘南に入った。
その筈だったんだ。

けど。


「はあ!」


「ゲーム立海!1-0!」


(俺は、此奴の為にーーー)




『良いわ。上出来よ平川君。』
『先生・・・・』
『関東大会、S3は貴方よ。頑張ってね。』


『こんな環境が幸村の+になると思うかよ!』
『あんたにとってどうかと、精市にとってどうかは関係ないから。』





皆。
皆、此奴の為に。
自分じゃなくて、幸村の為に。

「いけー!ゆっきー!」

相変わらず大きい紀伊梨の声に、平川の意識が一瞬逸れる。
ビードロズの方に向いた視線。

千百合だ。
見てる。


「ーーーー!く、」


ズサ!
という平川が体制を崩して膝を着いた音と、幸村が2ゲーム目を取った事を示すコールの声が同時に響いた。

「ゲーム立海!2-0!君、大丈夫かい?」

「平気です、大丈夫ーーーー」

「タイム!」

華村の涼やかな声が平川の言葉を遮った。

ち、という舌打ちは、口の中にしまいこんだ。