さあさあと雨が降りしきる中、もう全快した棗は妹と紫希に個人LINEを送る。
明後日月曜、作戦決行です。総員準備を。
「紀伊梨。」
「・・・・んむ~・・・・」
「紀伊梨起きて、時間だよ。」
「んん・・・う、ぁ~~~・・・おあよ、おかーさ・・・ん?」
いつものように皐月に起こされて目を覚ます朝。
ふと時計を見る。
11時。
「・・・・え、えーーーー!?」
紀伊梨は一気に覚醒した。
11時て。
遅刻どころの騒ぎじゃない、もう行くの諦めようか検討するレベル。
「おかーさーん!ちょっと遅刻だよこれじゃ、」
「紀伊梨。」
「んにゃ?」
「ちょっとそこに座って。」
「お?」
言われた通りベッドに腰かける紀伊梨。
なんだ。
怒ってる風ではなさそうだけど。
「あのね、紀伊梨。お母さん随分迷ったの。」
「お?うん。うん?うん。」
「紀伊梨は成績が悪いでしょ?だから余計にどうかと思うんだよね。紫希ちゃんレベルとは言わないから、せめて平均点は楽に取れるくらいでないと、と思って。」
「は、はい・・・」
「でもね、棗君や皆がすごく熱心にお話してくるの。絶対フォローしますから、責任は取りますから、って。」
「???」
「そう言われると正直お母さんも困っちゃうの。だって土台紀伊梨が勉強苦手なのは、ある程度は親のお母さんの責任もあるな、って思うから。」
「????うん?」
「だからね、紀伊梨。」
「うん。」
「行っておいで。」
「どこへ?」
「関東大会の決勝戦だよ。待ち合わせは12時に駅前だって。」
紀伊梨が飛び上がって喜んだことは言うまでもない。