「えっ?跡部君、S3じゃないのっ?」
可憐は驚きの声を上げた。
それを聞いていた向日は、可憐が驚くことにちょっと驚く。
「?別に、跡部はいっつもS1じゃねーかよ。」
「あっ、そうなんだけどっ。でも、今回は・・・」
鳳の意見を前もって聞いていたというのもあるが、跡部がS3に入ってより確実に1勝をもぎ取るというのは、可憐としてはかなり頷ける話だった。
だからなんとなく勝手にそうなると思い込んでいたのだが、跡部はオーダーを変えなかった。
「あら、そういう意見も出たのよ?採用しなかっただけで。」
「マジかよ?」
「どうしてそうしなかったんだろうっ?」
「意味がないから、ですって。」
「意味がない・・・?」
「仮にそうやってS3を取ったところで、それで勝てるのか?って考えた時にどうかと思ったらしいわ。立海はおそらく今回は特にオーダーを変えてこないでしょうから、尚更。」
跡部としては、今回はオーダーをちょっと弄ったくらいで、最終的な結果がひっくり返るようなそんな展開にはならないと思っていた。
色々方向性の違う立海と氷帝だが、基本的に地力で相手をずももとのしかかるように押しつぶしていくような勝ち方は共通している。
なんだかんだお互い今まで、小手先の作戦や奇をてらうような事はしていない。
強い方が勝つ。
それで良いじゃないか。
学校の方針として双方そう思っているのは良くわかるし、跡部もそれで良いと思っている。
シンプルで分かりやすい。
そしてそうなると、オーダー順の駆け引きというのは左程意味をなさないのだ。S3で勝てるかもしれないが、代わりに多分S3の力量で立海のS2に当たったらまず負ける。S1でも同じ。確実な1勝を手に入れて代わりに2敗を差し出すなんて、本末転倒だ。
「まあ、相手が立海やから延命くらいにしかならへんやろな。」
「そうなんだ・・・」
自分は今まで、立海のことを強い強い、関東の王者だと言っていた。し、その気持ちに嘘もなかった。
なかったけど、それでもまだ想像しきれてなかったのかもしれない。
王者立海の底力を。