「・・・・えー。」
「え?え?何々、今のどーゆー話?負けちゃったから?使わないって?」
「多分ですけど・・・レギュラーを下されるという意味じゃないかと・・・」
「なんで!?負けちゃっただけじゃ・・・負けちゃったけどー!でも強いんっしょ!?だから試合出てたんでしょ!?次は勝てるかもしんないのに、」
「次も負けるかもよ。今負けたみたいに。」
「そんなのあり!?」
「そういう思考回路なんでしょ、あの監督が。」
「やべーな、そりゃピリピリもするわ・・・」
立海だって自校ながら極端な方と思っていたが。
だが氷帝はなんというか、違う。
極端なだけじゃなくて、身内に対する攻撃性の種類が違う。
勝てない者を勝てと叩くわけじゃない。
勝てない者は捨てられてしまうのだ。
なんという冷たさ。
正に氷のごとく。
「・・・かわいそーだよー!」
「それこそ可哀想とかなさそうね、あの監督。」
「なんとかならないんでしょうか・・・」
「無理だろうなあ。慈悲があの監督にあるようにはお世辞にも見えんぞ。」
可憐は、網代は、跡部達はこんな所に居るのか。
仲良くなった友人達が、なんだかとても遠くなった気がした。
「そんな・・・・」
同じ頃、可憐も呆然としていた。
「・・・・なんかな。」
「しゃあないで岳人。わかってた事や。」
「そうなんだけどよ。」
「わかってはいてもなかなか、ね。」
(わかってたこと・・・そうだよね、そうなんだけど・・・・)
実は。
今年全国中学生テニス選手権大会への道のりが始まってからこちら、なんだかんだで氷帝は負けなしであった。
地区予選、都大会とノー黒星のままここまで勝ち進んできて、関東大会に来ても今に至るまで敗北したことがなく、常に三タテし続けていた。
榊の方針の事は可憐だって知っていたし、厳しいなあとも思っていた。
だが、実際にこうして敗者が出て、今までずっと頑張って居た部員が下ろされるのを見ると。
『敗者になった途端ルールに不満を言い出すのは、愚か者のする事だ。』
「・・・・・・」
ぎゅ、とフェンスを握る手に力が入った。
「・・・忍足君っ。」
「ん?」
「次は勝てるよねっ?・・・そうだよね?」
「・・・せやな。」
可憐が今忍足に求めたのは、推測ではなかった。
忍足もそれを分かっていたから同意した。
本当は2人とも同じ気持だった。
ーーー嫌な予感がする。