「それではこれより、D1の試合を始めます!」
敗北してもコールは止まない。
氷帝!の声は響く中、双方のD1の4人は準備を始める。
「今さっき負けたってのに元気が良いな、お前らは。」
「まあこれから勝つから、景気よくないとな。」
なんて、お互い煽り合ったところで審判の声。
「プレイ!」
「・・・ハッ!」
「フッ!」
(頑張れっ!頑張れっ!)
始まるラリーを見守る可憐。
このダブルスまで落とすと、色んな意味でキツい。
勝たないと。
そう思っているのは、プレイヤー側も同じである。
(ここで勝っておかないと、後が厳しい。S1の跡部は勝てるとして、S3、2と全部勝てってのは流石に・・・・)
「くっ!」
「ゲーム氷帝!1-1!」
「取られたか。」
「どうやらあっちもパワータイプだな。」
「どうする?」
「どうするって?」
「無理してパワー勝負に持ち込まなくても良いが。」
なんていう東雲に、佐川はふっと自嘲気味に笑う。
「パワー勝負しなくても良い?許されるのかそんな事がよ。」
「・・・まあ、そうだな。」
「プレイ!」
「・・・りゃあ!」
蘇る2人の記憶。
あれは準決勝後の事。
『・・・では次に、D1の反省点ですが。佐川部長、東雲副部長。僕からよろしいでしょうか。』
『ああ。何でも言ってくれ。』
『なら先ず・・・そうですね、技術的な事よりも方針に関わることですが。』
『『?』』
『何故パワー勝負をなさったんですか?』
『・・・いや、何故って。』
『ベンチでも言ったと思うが、今回の相手は、』
『スピードタイプだった。だからパワーで押すことにした。何も相手の得意な部分で張り合う事もない。そう仰っていましたね。』
『ああ。』
『しかし、それでは攻撃性がやや下がります。』
『・・・は?』
『今回の対応は、ある意味では相手の予定通りだったと思われます。スピード勝負を持ち掛けた。しかしパワータイプの相手は土俵に乗ってこない。これは見方によっては当然です。相手も、おそらく乗ってくるとは端から思っていなかったでしょう。しかし、これでは相手の精神を崩せません。』
『精神を崩す・・・?』
『おい、待て。俺達はどうすれば良かったと言いたいんだ。』
あの時の幸村の目。
今でも忘れられない。
『スピードで勝てば良かったんですよ。相手の土俵に立って、勝つ。心を折るにはこれが最善なんです。』
(簡単に言ってくれるぜ、彼奴。)
「・・・はああっ!」
ドン!
「ゲーム立海!3-2!」
「・・・おい、立海の奴ら・・・」
「ああ。パワーでのぶつかり合いがご所望らしいぜ。」
「・・・・受けて立ってやるよ。」