「はあっ!」
ドン!!
「ふうっ!」
バコ!
「らあっ!」
ドカッ!
「すげえ!」
「パワーショットの応酬だ!」
ギャラリーは何も知らず沸いている。
別に普段ならそれも嫌いじゃないけれど。
(好ましい展開とは言えねえな。)
チッ、と小さく舌打ちをする跡部。
それとほぼ同時に、審判がコールをした。
「ゲーム立海!4-2!チェンジコート!」
「審判、タイムを頼む。」
跡部は榊のこういう所にとても安心する。
もし自分が監督だったとしても、同じタイミングでタイムを取るだろう。
「監督・・・・」
「今の試合の流れは、2人とも把握しているか。」
「・・・はい。」
「では、どうするべきかわかっているな?」
それは分かってる。
分かっているけど。
「・・・お言葉ですが監督。」
「なんだ。」
「躱したところで、左程勝率が上がるとは思えません。それなら・・・」
「左程でなくとも勝率は上がる。それならばそちらが優先だ。」
「・・・・」
「・・・・」
「私はお前達を勝たせる為に此処に居る。1%でも勝利への道が広がるのなら、私はそちらをお前たちに取らせる。」
「・・・・」
「・・・・」
「躱さなかったとして、その先でお前達が得るものはなんだ?」
「それは・・・」
ペアの片割れ、大門が言いよどむ。
しかし、それと反対にもう一人、丸石は顔を上げて言った。
「プライドです。」
(丸石・・・・)
榊は小さく小さく溜息を吐いた。
「跡部。」
「はい?」
「お前はどう思う。」
榊がこう訪ねて来る時というのは、顧問としての言い分と教師としての言い分が榊の中で矛盾している時である。
跡部は諦め気味にため息を吐いた。
しょうがない。
と、こんな時に言いたくなかったけど。
「・・・監督の意向とおそらく同じですよ。」
「そうか。ならばこの試合、好きにしろ。行ってよし。」
「「はい!」」
「こうなるんやな。」
「監督もこれは難しかったでしょう、ね。」
「?結局変わってなくねえ?」
「変わらんでええ、いうことや。」
「で、でもっ。今劣勢だから、何かを変えないと負けちゃうんじゃ・・・」
「せやで。負けるてわかってんねん。」
「・・・!じゃあこの試合、」
「負けるでしょうね。」
「そんなっ!」
死ぬと分かっていて尚死地に赴く。
それを褒められたことじゃないと言う者は勿論居るだろう。
でも、譲れないものがあるから。
だから。
「ゲーム立海!5-2!」