「それではこれより、S3の試合を始めます!」
「なあ、柳とやら。」
「はい?」
「手加減してくれと言ったら?」
「何か裏がある確率、92.001%。聞かなかった事にさせて頂きます。」
「そうかい。」
自校のそれにしろ他校のそれにしろ、どうして今年の1年生はこんなに揃いも揃って、可愛げがないのだろうか。
お前ら本当に、この前までランドセル背負ってたのかよ。
「プレイ!」
「ふう・・・・」
ため息を一つ。
先輩として。
どうせ負けるのなら、先輩として。
「・・・タアッ!」
(ジャンピングサーブ?)
「・・・ふっ!」
柳のリターンは、コートの後方に綺麗に入った。
「15-0!」
「おお、すげえ!」
「リターンエースだ!」
「・・・・・」
沸く歓声とは裏腹に、柳は思案していた。
(・・・おかしい。氷帝S3、3年の外浦友樹。彼の持ち味、はスナップを活かしたスライスサーブだったはず。)
別に返せないわけじゃない。
というか、初見でも返せるくらいには、ショットとしてはお粗末。
付け焼刃でやってるんです感しかない。
たまたまかやけくそか。
と、常人なら疑うだろうが、柳蓮二にそれは残念ながら通用しない。
(人間は理由のない事はしない。何か行動を起こす時には、必ずそれをするに至る理由がある。それは何なのか・・・)
見つけてみせる。
ぐ、と厳しくなる柳の顔つきに、外浦は本当に可愛くないなと声に出して言うのをぐっとこらえねばならなかった。