「はあ・・・・」
紫希は思わずため息を吐いた。
間違えた。また間違えた。
同じ所を。
「・・・・・」
そこだけ弾いてみる。
もたつく。
出来なくはない、みたいな感じ。
ちょっと遡って弾いてみる。
問題の所まで、後10小節。
9、8・・・・
「・・・あっ!あ・・・」
間違えた。
そこまで辿り着く事も出来ない。
(もう弾けていた所まで弾けなくなってます・・・)
駄目だ。
進歩してないどころか退化して来たら、本格的に行き詰っている兆候。
でも他に出来ることがない。
練習しなきゃ上手くならないのに練習すると下手になる。
でもこれ以上下手になったらどうしようと思うと、怖くてやめる気になれない。
「あ・・・・」
また間違えた。
ああ。
もう嫌。
「・・・・・・・・」
ボン。
紫希が適当な所に指を置くと不協和音が鳴った。
そのまま項垂れる。
「辛い・・・・」
ぽつりと音楽室に落ちた呟き。
ああしんどい。
しんどい。
しんどいよ。
上手くいかない、どんなに頑張っても。
最近寝てない。
何か頭も重い。
分かってる、焦ってるんだ。最近この事で頭がパンパン。
兎に角鍵盤に触ってなくちゃ不安で不安で、でも触ってても下手になっていくばかりでまた不安。
負のスパイラルに陥ってる感覚がわかるけど、どうしたら抜け出せるのかも分からない。
辛い。とても。
「・・・・・・ふう。」
ぴしゃん!とちょっと強めに両頬を叩いた。
休むな。
まだ出来る。