Well done 1 - 5/8


「はあ・・・・」

紫希は思わずため息を吐いた。

間違えた。また間違えた。
同じ所を。

「・・・・・」

そこだけ弾いてみる。
もたつく。
出来なくはない、みたいな感じ。

ちょっと遡って弾いてみる。
問題の所まで、後10小節。

9、8・・・・

「・・・あっ!あ・・・」

間違えた。
そこまで辿り着く事も出来ない。

(もう弾けていた所まで弾けなくなってます・・・)

駄目だ。
進歩してないどころか退化して来たら、本格的に行き詰っている兆候。

でも他に出来ることがない。
練習しなきゃ上手くならないのに練習すると下手になる。
でもこれ以上下手になったらどうしようと思うと、怖くてやめる気になれない。

「あ・・・・」

また間違えた。


ああ。
もう嫌。


「・・・・・・・・」

ボン。
紫希が適当な所に指を置くと不協和音が鳴った。

そのまま項垂れる。


「辛い・・・・」


ぽつりと音楽室に落ちた呟き。

ああしんどい。
しんどい。
しんどいよ。
上手くいかない、どんなに頑張っても。

最近寝てない。
何か頭も重い。
分かってる、焦ってるんだ。最近この事で頭がパンパン。
兎に角鍵盤に触ってなくちゃ不安で不安で、でも触ってても下手になっていくばかりでまた不安。
負のスパイラルに陥ってる感覚がわかるけど、どうしたら抜け出せるのかも分からない。

辛い。とても。

「・・・・・・ふう。」

ぴしゃん!とちょっと強めに両頬を叩いた。

休むな。
まだ出来る。