Flower drop 1 - 9/9


「それでは、お疲れ様でした。」
「「「カンパーイ!」」」

祭囃子を遠くに聞きながら、ビールじゃなくて紅茶で乾杯する母親3人。

ああ疲れた。
我が子のためだし、やってる間は楽しいとはいえ3人分の着付け&ヘアメイクはきつい。

「今頃楽しんでるかなあ・・・」
「もしかしたら、ロマンスが生まれるかもしれませんよねっ!3人ともあんなに可愛く仕上がったし♡」
「五十嵐さんは本当好きだねえ、そういうの。」
「そーんな事言って。他人様のコイバナなら純子さんも結構好きなの、私は知ってるんですよ?」
「え、純子ちゃんそうなの?」
「へへ、バレた?」

子供達が此処に居ないのを良いことに、子供達の話題をお茶請けにして夏の夜のお茶会。
親の特権というやつ。

「お祭りかー・・・なんだかんだ忙しいですけど、また子供が手から離れたら自分でも行きたいなあ。」
「あっ、良いね!子供のころの気持ちに戻れそう。」
「ですよねですよねっ!雪乃さん、わっかるぅ♡」
「へー。」
「あれ?純子さん分かりませんか?」
「あんまり夏祭りに思い出無いんだよね。そもそも行った記憶があんまり。」
「そうなんだ。」
「春日さんは何か思い出あるの?」
「私?私は何ていうか・・・あの、そのう・・・」
「お?お?これは面白い話の予感ですか?」
「そっ、そんな言うほどの話じゃ・・・」
「まあまあ姐さん、紅茶をもう一杯どうです。」
「お菓子もおかわりありますよお!」
「待って待って待って待って!ハードル上げないで!」
「「さあ、吐け!」」
「止めてえええ!」

今正に雪乃が夫との馴れ初めを吐かされている事など、娘である紫希はおろか子供達は誰も知らない。

一同は皆、今は大人の物語にかかずらっている暇などない。
自分の物語を紡ぐのに全力を傾けている真っ最中。


祭りの夜が今年も始まる。