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「フッ!」

「ハアッ!」

「ッ・・・・ゥアア!」

途切れる事のない声。
途切れる事のない音。








「やべえ・・・」

棗は引き攣り笑いしていた。
棗がこう笑う時は本当にヤバい時であるが。

「ねー!これ何時終わんのー!?」
「彼奴のスタミナどうなってんのよ・・・」
「が、頑張って下さい桑原君!」

こう言ってはなんだが、桑原のテニスのスキルは1年生としては並。上級生に混じると、普通に若干劣るくらいであった。

しかし、桑原には他の者に無い大きな武器があった。

「向こうの選手絶望してるわよ。」
「そらそうだわ・・・だって彼奴追いつくもん。」

かなり極端な話をするが、テニスというのはボールを相手のコートに落とすゲームである。
つまり、落ちなければどうという事は無い。

桑原は、それを地で行く選手だった。

足が速い。
体力は底なし。
そして諦めない。
返しても返しても拾ってくる。






「6-5!桑原、マッチポイント!」

(此処だ・・・!)

ふーーーっと長い溜息を吐く桑原。

ポイントカウント6-5。
此処で決めなければ長丁場にもつれ込む可能性が高い。

スタミナには自信があるが、別に好き好んでスタミナ勝負に持ち込みたいわけじゃない。
叶う事なら、スマートにサッと勝ってしまいたい。

あの親友。
丸井ブン太のように。




「行けー!桑原ー!」




聞きなれたクラスメイトの声援にハッとして、正面ーーー相手の更に向こうを見ると、なんと知った顔が。

(黒崎?春日?)

それに知らない顔も2人。
なんであんな所居るんだろう。
どうやって入った。

いや。
まあ良いや。

(・・・やって、やるぜ!)

声援を受けた桑原のサービスエースが決まるまで、後数秒。