Island of sun 2 - 3/8


夏は日が長い。
おまけにもう夏休みに入るような時期。夕暮れに近づいてきても涼しくなるわけじゃない。沖縄は風が乾いているからまだマシだが、それでも暑いことには変わりなく。

「本当に大丈夫だな?」
「携帯の充電あるか?財布持ってるよな?」
「帽子飛ばされても道路に飛び出すなよな!迷子になったらすぐ連絡しろよ!」

「もー良いからっ!ちゃんとするから、2人とも早く帰りなよっ!」

沖縄の街角にて、可憐は向日と宍戸に噛みつくように言った。

「そんな事言うけどよ、お前。」
「言われなくても戻るけど、本当に連絡は気を付けろよ!こんな出掛け先で変なトラブルになるとか、激ダサだぜ。」
「わかってますうっ!」

じゃあね、後でねっ!と言い切ると可憐は向日と宍戸に背を向けて歩き出した。

3人はさっきまで、沖縄の街を楽しく歩いていたのだ。

しかし暫く経った頃、土産も買ったし暑いし、もう一泳ぎするならそろそろ戻る?という話になった時、戻る方を選んだ向日と宍戸と違って、可憐は散歩の続行を選んだのだ。

自然別行動という事になるが、そしたら2人ともあの言い草である。
人の事なんだと思ってるんだろう、幼稚園児じゃないんだぞ。

(失礼しちゃうんだからもうっ!確かに私ドジだけど、1人だと何にも出来ないとかそんなわけじゃないんだからねっ!)

ちょっとぷりぷりしながら、可憐は1人沖縄の街を歩く。

そろそろ一番暑い時間帯は脱してくるが、まだまだ明るいし暑い。
少し歩くと、首筋を汗が伝った。

暑い。

「・・・・・」

正直な話。

泳ぎたくなかったかと言えば嘘になる。
可憐だって暑い。

折角午前海で汗を流したのに。
それに沖縄の散歩だって別に悪くないけど、沖縄のプライベートビーチの方がより貴重なんだから、そっちを深く満喫するべきとも思うし。
暑いより涼しい方が良いし。
跡部家の別荘には何でもあるし。

でも。

(・・・皆きっとそう考えてるよね。)

おそらく街中に繰り出してる者なんて少数派だと思う。皆多分、ビーチから基本出ない筈だ。

ビーチに戻ると皆居る。
そして今の可憐は、皆と居る気分じゃなかった。


ーーどうしたの?


「・・・・・・」

海に戻ったら。
皆と一緒に居たら。

そしたらきっと、色んな人からこう声をかけられるだろう。

そして聞かれたら答えなければいけないのだ。

何でもないよ。
ちょっとぼーっとしてて。
ごめんね、何の話?

ああ。
なんだか疲れた。

(どうしたの・・・って言われてもなあ・・・)

どうしたって、それは自分が一番聞きたい。
一体自分はどうしたんだろう。おかしい。

それはわかっているけれど、今可憐はとても疲れていた。

この事に加えて、最近は関東大会に決勝での敗北にと色々ありすぎた。
悩みたくない。
頭を休めたい。

どうしたら良いかとか解決方法とか、あまり深く考えるな。
そう言う無意識下からの自己防衛の声に従って、可憐は沖縄の街を一人進みだした。


暑い。