Island of sun 2 - 8/8


夏の夜空を、沖縄から東京へと飛ぶプライベートジェット。
勿論乗客は、散々遊び倒した氷帝テニス部部員である。

「で!」
「え?」

網代はペットボトルの午後の紅茶を開けた所で、斜向かいの金町から声をかけられた。

「どうだったの?」
「どうだったって?」
「惚けるなよー?今日の午後は忍足君とお散歩デートしたって、ちゃ~んと聞いてるんだから!」
「あら。耳が早い。」
「っていうかあかりはいつそんな事聞いたのよ。ひと夏のロマンス探すのに忙しかった筈なのにさ。」
「煩い!」
「あれ?あれあれあれ?ひょっとして?見つからなかっーーー」
「煩いなもう!余計な話は良いの!」

今の会話でもう、金町の本日の収穫は察せられる。

「それよりさ!ほら!」
「分かった、分かったわよ。でもーーー」
「ぅうん・・・・」
「ほら、可憐ちゃんが起きちゃうから。静かに話しましょ?ね?」

そう。
可憐は飛行機が離陸してすぐ、ぐっすり寝始めた。

元々何やかんやあって跡部邸に戻った時にはもう良い時間になっており、部屋で休むどころか帰る準備をすぐせねばならなかった。
なのでほっと一息付いたのは完全に機内に座ってからで、柔らかなシートに背を
預けると強力な睡魔に襲われ、そのまま逆らわずすぐ眠ったのだった。

寝て過ごすのは、可憐には好都合だった。聞くのが辛い話を耳に入れなくて済む。
眠らない理由はなかった。

「私的には、可憐ちゃんの話もちょっと聞きたかったんだけど、ね。」
「可憐って、今日は途中から一人で散策してたんだっけ?」
「確か。」
「ふふっ。あかり、どうする?」
「どうするって?」
「案外、可憐ちゃんはひと夏のロマンスを経験して帰ってきて、それでお疲れなのかもしれないわよ?」
「嘘っ!?あ、いやでも、慎重派の可憐に限ってそんな・・・」
「馬鹿ねえあかり。そういうまさかな事に限って起きたりするもんなのよ、世の中って。」
「ということは、真理恵が告白する時の成功率も案外高かったりするわけだな。なんたって、まさかな事ほど、ですからねー。」
「はあ?」
「はあん?」

まーた始まった。
と苦笑しつつ、網代は隣ですやすや眠る可憐を見遣った。

「・・・・・・」
「茉奈花?どうかした?」
「うん?ううん、何でも♪ひと夏のロマンスの話、聞きたいなあって思っただけよ。」

聞きたい。
聞ければ聞いた分だけ、自分は楽が出来る。