First order 2 - 4/5






結局幸村対佐川の試合は、佐川が1セットどころか1ポイントも取れないまま、
あっという間に終わった。

単純な勝ち星の数で言うと、上から幸村、真田、柳。その下に佐川を筆頭とする3年生が
団子状態。

「おおおお・・・!あっとーてきではないか、我が軍は!」
「本当それなーw」
「上級生の皆さんも、十分強いと思うんですけど・・・」
「上の3人規格外過ぎね。」

見ようによっては惨いとしか言いようの無い結果だろう。
星の数だけ見れば個数の差でしかないが、内容的には上位3人を相手にした場合、
殆どの者が試合をさせて貰っていない。








「それでは、これより今年度のレギュラーメンバーを発表する!」

部長の佐川が、スコアを見ながら整列した部員に向かって声を張り上げる。

「1年!幸村精市!」

「はい!」

「1年!真田弦一郎!」

「はい!」

「1年!柳蓮二!」

「はい!」

「3年!東雲・・・」








(・・・やった。やったね、精市。)

「呼ばれた呼ばれたー!」
「この「せやろな」感よw」
「すごい・・・!本当に1年生で、レギュラーになれるんですね!」
「ねー!ね、すごいよね千百合っ・・・ち・・・」

紀伊梨は思わず息を呑んだ。

もう部活もそろそろ終了という時間。
夕日に照らされる、幸村を見つめる千百合の微笑んだ横顔は、それは綺麗で。

綺麗で。

綺麗で。




只管に直向で。




「・・・私が幸村君でも、千百合ちゃんを好きになりそうです。」

呟き声に振り向くと、笑った紫希が紀伊梨を見ていた。

「・・・うん!私もそー思ってた!」
「ね。そうですよね。」

だって、あんな眼差しで自分を見つめてくれる、こんなに綺麗な女の子。
そんな子、世界のどこにも居ないじゃないか。

「・・・うん?ごめん、なんか言った?」
「「何にもー。」」
「ちょっと・・・なあに2人して。」
「後でお教えしますので。(幸村君に)」
「うんうん!ちゃんと言うよ!(ゆっきーに!)」
「なんか釈然としないんだけど。・・・何笑ってんの兄貴。」
「気にしないでー?それより、そろそろ戻ろうや。」
「あ、そうですね。」

そろそろ部活も終わり、ギャラリーも解散する。
他の生徒と鉢合わせると裏ルートがバレかねない。

「そーだ!早くしないと、ゼリー!」
「ゼリーなら俺が用務員室持って行ったけどw」
「えええ!?」
「冷蔵庫あるからさw」
「そうじゃなくてですね!どうして入れるんです、用務員室に!」
「コネよコネwこないだ用務員さんぎっくり腰になった時に、植木の剪定してあげたの。」
「すごーい、なっちん!」
「何故それが・・・いえ良いです。」

植木の剪定して上げたとか軽ーく言ってるが、出来るのだろうか。
と思ったがそうだった。この男は何でも出来るのだ。

「そうだ、お前の幸村当てゼリーも移してあるよ。」
「はああああ!?」

千百合はバッ!と棗の方を向くが、棗はへらへら笑うばかりでいっかな気にしていない。

「なんで知ってんのよ!」
「逆にお前はなんでバレないと思ったんだよwあんなに鞄庇いながら行動してたのにw」

「千百合っちそんな事してた?」
「いえ・・・特にそんな素振りしていなかったんですけれど・・・」

ともあれ、話は後だ。

4人はフェンスをそっと離れると、来た道を引き返し始めた。