「はあ・・・はあ・・・・」
「可憐、大丈夫・・・・?」
「大丈夫じゃないかも・・・・っていうか、皆大丈夫じゃなさそうだけど・・・」
「言えてる・・・!」
信じたいニュースとはとても言えなかったので、見ないふりをしていたのだが。
本日の最高気温。今年、最高値を記録。
じっとしているだけで汗が滴り、帽子を被っていても照り返しが眩しくて目が細まる。
夏日だ。紛う事なく夏日。
(ああでも、ちょっとラッキーな事もあるかな・・・)
ちょっとラッキーなこと。それは、昨日と比べてのあまりの暑さに、日曜日にも関わらずギャラリーが殆どはけている事であった。
しかしそれも無理からぬ事だと思う。好きな人が居ることと命が惜しいことは別問題だからだ。
逆に、今尚見学している人間というのは、目的が何であれ相当な根性の持ち主と言えるだろう。
パシッ!
「んっ?」
可憐は顔を上げた。
今何か、変な音がーーーうん、聞こえる。
その音は、今会話していたマネジの女子にも聞こえているようだった。
「ねえ、今何かパシってーーー」
「ねっ!聞こえるよねっ!」
「それ、青木君じゃない?」
割って入ってきたのは別の女子マネ。同級生だ。
「青木君?って誰っ?」
「青木二葉君よ。隣のクラスなんだけど、結構変人として有名な奴だから知ってるの。」
「有名だか何だか知らないけど、このパシパシ音なんなの?」
「これ、カメラの音なのよ。」
「「カメラ?」」
「青木君、新聞部だからね。ジャーナリストが夢なんだって。凄い熱の入れようで、この夏は注目株のテニス部に張り付いてやるんだって、休みの前から言ってたみたいよ。」
「へえ・・・・」
おそらく、今日までの日にもずっと居たのだろう。
しかし周りが煩すぎて、彼のカメラの音はずっとかき消されていたのだ。それが今日、ギャラリーが暑さに耐えかねて居なくなり、急に聞こえるようになったと。
「しかしこの暑いのにねえ・・・」
「凄いエネルギーだよねっ。」
「まあ、向こうからしてみたら私らの方が凄いエネルギーなんじゃない・・・・」
「それは言えてるかも・・・」
可憐は苦笑した。
ああ、暑い。