赤い提灯。
「おお・・・・」
群れる人の波。
「おお・・・・・・」
そこらじゅうから漂う、香しくお腹が空く匂い。
「おおおおおー!」
そう、ここは中華街だ。
「やったー!中華街だー!」
「何回か来た事あるでしょうに。」
「あはは・・・でもやっぱり、久しぶりに来るとわくわくしますよね。なんだか、どれも食べたくなっちゃって。」
「あー、蟹食べたいな蟹!」
「がっつり行きますねw」
「お前ね、そんな食べ歩きしにくい物をw」
「そーよ、塩飽君一人で食べなさいよ。私達、色々ちょっとづつ食べたいわ~。」
「ちょっと言っただけだろ!俺も食べ歩きする!」
こんな風に会話してる声すらも、ここではがやがや煩くて聞こえづらい。
でも、ここはいつもそうなのだ。常時お祭りしてるみたいな所。
「じゃあどこから行く?俺は引率だから、皆についていくよ。」
「ですけど、小口さんも食べたいものが・・・」
「いいよいいよそのくらいw俺はあくまでおまけだし、どうしても食べたいものがあればさっと買うからw」
「はいはいはい!紀伊梨ちゃんね、肉まん食べたい肉まん!コンビニのよりちっちゃくてー、醤油つけて食べるやつ!」
「あー、話わかるね紀伊梨ちゃん!あれ美味しいんだよなー!」
「そうそう、ビールに合うのよね~、って、ここに売ってるものは大概合うんだけどー。」
「また酒の話か。」
「良いの!大人の楽しみなんだぞ!」
「そうよ!お土産に何個か買っちゃおうかなー?」
「はあ・・・」
千百合は溜息を吐いた。
今朝、朝食を食べに(テニス部はもう行った後なので気楽だった)ホテルのホールへ降りたら、塩飽と小鳥遊は二人でテーブルに突っ伏していた。
昨日夜に飲みに行くと聞いていたがそんなに飲んだのかと突っ込んだら、部屋で飲んだ缶チューハイ4本が効いたらしい。
安い酒とかやっぱだめだわ~もうお酒はやめよ~とか言ってたのに、昼前にはもうご覧の有様である。
「学習しねえな。」
「あら?千百合ちゃん、何か言った?」
「何も。」
「それよりおたくらはw出会いを求めるのはしなくて良いんですかw」
「そうそう、私はちょっと別行動させて貰おうと思ってたのよ!やっぱりいくらいい女でも、男連れで子連れの役満はちょっとねー?」
「わかるわかる!俺も俺も!やっぱり異性と子供はナンパに向かないよなー!」
「え、お前ら2人は例え一人でもさ・・・」
「「煩い!」」
「ねー、紀伊梨ちゃんお腹空いたよー!あっちのシュウマイ食べてきて良いー?」
「あ、ま、待ってください!私もついて行きますから!」
「やたー!ねーねー紫希ぴょん、エビシュウマイと普通の買って、半分こ・・・」
「・・・紀伊梨ちゃん?」
紀伊梨は入口の方向をじっと見つめた。
「どうしたんですか?」
「うーうん!何かあっち、わいわいしてるなーって!」
「そうなんですか?よく見えないです・・・でも紀伊梨ちゃんがそう言うのなら、何かイベントなんかがあるのかもしれませんね。」
「おー!行ってみたいー!」
「ふふっ!千百合ちゃん達の分も買い終わったら、行ってみましょうか。」
「うん!」