Aurora festa - 6/7


「結局文化祭を楽しんだか、って言われると微妙な結果になっちゃったわ、ね。」
「ね・・・」
「せやなあ。」

部活に向かう道中で、3人はややぐったりしながら話していた。

「結果的にやけど、木崎さんに振り回された、ていう事になるんやろか。まあ半分以上は、こっちから首突っ込んだようなもんやけど。」
「フェスの日、私どういう気持ちで見学してたら良いんだろう・・・」
「うーん、最悪芹沢君が土壇場で抜けるまであるでしょう、ね。」
「えええっ!?ああでも、しょうがないの、かなあ・・・」
「まあ、フォローしてくれる人間が居るとは言うても、自分のことを露骨に邪険に扱う奴と同じ所属にずっと居れていうのんも。」
「嫌よ、ね。シンプルに。」

それこそ芹沢なんて、木崎と関わらないでいようと思えば幾らでもそう出来るのだ。
グループに残ってくれているのなんて、ただの温情でしかないのに。

「同じ所属言うたら・・・」
「えっ?」
「木崎さんは、来年はテニス部に来るやろうけど、どないするんや?」

「一先ず入れてみるわ。」

網代はさらりと言った。

「えええっ!?」
「確かに性格には大分難があるけれど、彼女の鳳君への執着は本物よ。それを踏まえて仕事のこととか周りとのコミュニケーションの事なんかは予め言い含めておいて、退部もあり得ると言っておいたら、同じ部に居たいっていう熱意で結構食らいついてくるんじゃないかと思うの。」
「それはそうかもしれないけどっ!」

揉める未来しか見えない可憐だが、鳳長太郎というカードは木崎にとって、自分の性格を封じ込めてでも得たいと思っているものだろう。
多少以上のことを要求しても通るはずだ、というのが網代の見立てだった。

「まあ正直、足元を見ているのは認めるわ。」
「その辺はええやろ。木崎さんも、居れるもんやったら居りたいて思うてるやろうし、win-winっちゅう事で。」
「win-・・・そう、かなあっ?でもそうかもっ?」
「それに、もしかしたらあの性格を矯正する最初で最後の機会かもしれへんし。」
「ああうん、それはあるかも・・・」

鳳というカードを以てして直らなかったら、逆にいつ何で直せば良いのだろう。
と言われると、確かにこんな機会一生ない気がする。

「そういえば、あの子は入るのかしら?」
「えっ?どの子っ?」
「ああ、神崎さんか。」
「安音ちゃんっ!?」
「そう。可憐ちゃん、知り合いなんでしょう?どう?」
「どうって、どうも何も・・・そもそもそんなには親しいわけじゃないしっ。それに、前回も今回も特に、テニスがどうとか部活がどうとか、そういう話は・・・」
「あらそう?」
「入れたいん?」
「ええ。マネージャーのリーダーとして、ね。」

網代はすごく自然に言っているが、可憐的にはとてもよくわからない発想であった。

「どの辺が向いてるの・・・?」
「ん?ああ、ごめんなさい。別にあの子がマネジに向いているとか、そういうわけじゃないのよ。そうじゃなくて、キャラクターとして、ね。」
「キャラクター?」
「あの子は何に対しても正面から物を言ってたでしょう?それに、行動していたし。すごく上昇志向が強いというか、出来ないっていう事に対して耐えられないタイプだと思うのよ、ね。」
「ああ、確かに。出来るやろ、なんでやらへんねん、って詰めていくタイプやな。」
「でしょう?実はうちの部って、面と向かって態度でそう示してくれる人が少ないのよ、ね。特にマネージャーには。部員の方には、宍戸君なんかが居てくれてるんだけど、ね。」
「へえ・・・・」

そうか。
単純に向いてる、向いてないでしか考えずに嘘だろ、と思ってしまった可憐だったが、そういう観点で見ると有用な人材なのかもしれない。と、思わないでもない。

それはそれとして、手に負えそうかと言われると、ちょっと困るけど。

(ううん・・・でも、あれでいて素直だしちゃんと謝れるし、先輩先輩って言ってくれるし、慕ってくれてる感じはちゃんとしてるんだよねっ。まあ、本人にはもしかしたら、マネージャーとか全然そんな気ないのかもしれないけどっ。)

受験すると言っていたし、本当に氷帝に来ていたら、ちょっと誘ってみようか。
可憐は密かに、そう心に決めた。