First RAINBOW FESTA:Rally - 3/5


ガタン、ゴトン。
ガタン、ゴトン。

電車に揺られながら窓の外を見て、街並みの様子が知らないものに変わってきたな、と鳳は思った。

(渋谷は、普段殆ど行かないからなあ・・・迷わないようにしないと。)

最も、多少迷っても大丈夫なようにこうして早めに出ているのだが。
鳳は鞄から、前もって貰っておいたセットリストを取り出した。

(木崎さんのグループはツクヨミ・・・ツクヨミ、ツクヨミ・・・あ、あった!お昼休みの後、結構すぐなんだ。)

ということは、自分は観客の立場をいかして昼休憩の前に早めの昼食を済ませるのもよし。
参加者が昼に一斉に食事することを思えば、尚更だ。

(こういうのって、参加者は待ってる間何をするのかな?出来れば激励の言葉とかお疲れさまとか、そういう事を言いたいけど、邪魔になるといけないし・・・ううん、困ったなあ。やっぱり誰か、詳しい人に聞いておくべきだったかな・・・・)

生憎現在の鳳の周りには、軽音楽に詳しい人など居なかった。
自分もピアノの発表会なんかは出たことがあるけど、それとこれとが一緒だなんて思えないし。

最悪、見るだけで一切話せないことは視野に入れておかないとな、と小さく溜息を吐いて、鳳はリストをまた鞄にしまった。



一方鳳の座る車両から、5つ後方の所では安音が中院と話しながら立って乗っていた。

「えーと?Pan cakeの演奏が・・・昼直前かー、食いながら見て良い?」
「だめ。前の方は人がいっぱいなんだから、立食なんて迷惑だよ。」
「ちぇ!」
「安音他にどこか、見たい所ある?」

「ツクヨミ!」

先日の文化祭の件を経ての中院の誘いに、安音はどうせだったら見てやろうという気持ちでいっぱいだった。
やっぱり見るんだったら知ってる人間の方が面白いし。

一方の中院は苦笑した。

「あんた、あの成り行きでよく見ようと思えるね。ボーカルに、目の敵にされてるんじゃなかったの?」
「されてっけど、別に俺の側が気使う義理もねえし!あの芹沢とかいうやつが結局出るのかも気になるし、ふっつーに演奏もちょい気になるしな!」
「あはは!まあ確かに、知ってるバンドの力量が気になるのは自然な事だけどね。」
「楓も見てみたくねえ?氷帝入るんなら先輩だぜ?あの女は同級生だけど!」
「確かに、それもある。」

そう、中院も氷帝志望の中学生。
別に中院も安音も自分達がバンドやろうとかそういう気はないけど、同じ学校の先輩と言われると、それだけで何だかちょっと気になるのが後輩心というやつ。

「後、んー・・・あれ、どれだっけなー!」
「何?まだ見たいところがあるの?」
「こないだ文化祭の時に会ったドジな先輩がさー、何かもう1グループ、他所の学校の名前言ってたから、それも見るかと思ってたんだけど・・・」
「はっきり覚えてないわけね?」
「そ!見たら思い出すかと思ってたんだけど、思い出せねえな・・・学校の名前が立海ってとこはわかんだけどなー!」
「部活の発表の場じゃないからね。学校とか、所属の名前はどこにも書いてないし、今どきは個人情報の事があるから、聞いても教えて貰えないだろうね。」

レインボーフェスタは中高生の発表のイベントだが、中高生という制限はあくまで年齢にかかっている。
どこの中学でどこの高校かは別に関係がないし、学校が跨っている者同士でのグループもOKなので、わざわざどこの学校の生徒がメンバーか、などとは明記されていない。

「まあでも、聞いた限りだとその先輩も来るんでしょう?会えたらその時に聞けば良いじゃない。」
「まあそれもそうだな!」

別に連絡先のやり取りとかしたわけじゃないので、会えるという確約があるわけじゃない。
でも安音は多分会えるだろうと信じて疑わない。昔からそういう運は、結構強いから。

きっとまた、会えるだろう。