First RAINBOW FESTA:Meaning and worth - 2/5


「・・・・・・」

静かになった板谷を見て、松岡も理由に当たりをつけていた。
多分伊藤も、似たような事思ってるんだろうなという事も。

「どうかしましたか?」
「あ、ううん!ごめん、何でもないよ!気にしないで!けど、それにしてもびっくりしたなー。まさか曲も歌詞も、全部オリジでやってるとはね。」

今松岡はバンドでの担当・・・つまり、誰が何やっててどういうポジションなのか、を聞いていたのだが、その流れで曲は全部オリジナルと聞いて素でびっくりした。
よくやるもんだと思う。掛け値なしに。

「時間あるの?成績だいじょぶ?」
「まあ曲は天才肌が作ってるし、作詞は生真面目で予習復習サボらないし、俺は適当にやってるしw問題ないっすよw」
「お前らはもっとちゃんと勉学に時間を割け!たるんどるぞ!」
「出来てりゃあそれで良いんじゃねえの?」
「五十嵐は、曲作りがあろうとなかろうと予習も復習もしないだろうしな。」
「ふうん、やれるもんなんだねえ、中学生で。俺達もやってたけど、すっごいきつかったけどなー。まあ、高校の方が勉強に時間取られがちだから、却ってきついのかもね。」
「ずっとオリジナルだったんですか?」
「ううん、最初の一年くらいはカバーだったよ。板谷先輩がオリジでやりたい、って言い出したんだよねー。そうそう、そんでさそんでさ!作曲は出来るんだけど、作詞のセンスがマジでないの!今思い出しても面白ダサくって・・・あっはっはっはっは!」

「聞こえてんだよてめえ!」

隣のシートの板谷が怒鳴ってきて、松岡は尚笑った。良い性格をしている。

「・・・・・・」

丸井はそんな松岡を見て、ちょっと考えた。

「はーあ、おかしい・・・ん?なあに、どしたの?」
「いや。ちょっと聞きたい事あるんですけど、聞いて良いのかどうかと思って。」
「え、良いよ?何々?」

「なんで辞めたんですか?」

松岡は、口に唐揚げを運ぼうとしていた手を止めて。

「・・・・・・」

運ばぬまま戻した。

「・・・・んー、実はさー。」
「?」
「厳密に言うと、辞めたのかどうだかわかんないんだよね。」
「「「「「え?」」」」」
「何か恋愛か何かみたいだけど、自然消滅っていうの?別に辞めよう解散しよう、ってはっきり誰かが言ったわけじゃないんだけど、段々3人で集まるのが難しくなって、そしたら今度は完成度が揃わなくなって、最後には誰も会おうって言い出さなくなって・・・そんな感じ。」

この件に関して松岡が個人の見解を述べるならば、「まあそうだよね」に集約される。
性格的に基本リアリストである松岡は、バンドの最後なんてこんなもん・・・と、ある意味最初から思ってはいた。

「アマチュアバンドなんてさ、結局趣味じゃない?趣味って、区切りがないんだよね。卒業とかしないし、続けようと思ったらどこまででも続けられちゃうから。でも人間目先の目標がないと、結局こうやってなあなあでなんとなく終わっちゃうんだなあ、っていうのはやってみてわかったかなー。」
「へえ。」
「そういうものですか?俺にはいまいち分かり難いのですが。」
「まあ、大会がある俺達とは根本的に違う。基本的に芸術の世界は、競争の概念が薄いからな。」
「ああでも、イベントがあるとそれに意識が向かって練習に張りが出る感じはします・・・」
「うちはリーダーがお祭り女で、すぐイベントの匂いかぎつけちゃうかんねw忙しいけど、良いこともあるんだなあ。」
「まあ、何が言いたいかというと!」

松岡は箸を置いた。

「先輩風びゅうびゅうで言っちゃうけど、がむしゃらに青春しなよ!って感じかな。時間って、あるようでいて意外と無いもんだからね。」
「うむ!それはその通りですね。」
「そうだな、時間は有限だ。」
「そー考えると、お前らって結構偉いのな。」
「え?」
「要は、何も言われてなくても自分達で締め切り作ってるわけじゃん?」
「そうだねー、俺もそう思う。こうなったらもう終わりにする、って決めるのって難しいからね。」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」

本当は紫希も棗も、いや他の誰も辞めたくなんてない。

でも他にどうしようもないなら、それならせめてピリオドは自分達の手で打ちたかった。

紀伊梨なしで続けるとか、滅多に参加できなくて形骸化するとか、そんな扱いをビードロズというグループに対してしたくはない。
大切なればこそ。

「まあ何事も引き際を美しくするのが一番難しいと言いますからねw」
「本当それ!」
「そうだな。何かを始めるより、実は終わらせる方が難しいのかもしれない。」

こうしている間にも終わりへの足音は近づいてきている。
今はまだ遠いけど。

でも、いつかは必ずやってくるそれが、少しでも遅いようにと皆願った。