First RAINBOW FESTA:Columbus egg - 4/5


いつまでも熱気が消えない会場だったが、それでも日が陰るにつれて残るグループは減っていき、とうとう全てが終わって30分後。

閉会式が始まった。

『それでは大変長らくお待たせいたしました。これより第25回、関東レインボーフェスタの閉会式を執り行います!』

わあっと再び湧きなおす会場。
もうほぼ誰も演奏しないが、ある意味フェスの最後の醍醐味は此処から。

毎年一人は混じると噂されている芸能界関係者と、多くの審査員。
そのお眼鏡に敵う各特別賞が授与されていき、選ばれたグループはアンコールの栄誉を受けられる。

『それでは高校生の部より、特別優秀賞ーーー』

「そもそも紀伊梨ちゃん達、こーこーのとこ全然聞けてないんですけどー!」
「まあ朝も日中もバタついてたからねw」
「一番時間があってゆっくり出来たの、中学生の部の時でしたから・・・」
「そんな興味ある?」
「え、あるよー!千百合っちないのー?」
「あんまり。」

「どうじゃ、賭けるか?」
「OK、俺高校午後の部一番のとこ!」
「えええ・・・そうだなじゃあ、俺は朝見たツインボーカルの所で。」
「では私は、午後の2ピースのグループ辺りを。真田君達はどうなさいますか?」
「俺は正直善し悪しが左程わからん。」
「ふふふ。良いんだよ、こういう事こそ感覚で。俺は猪鹿蝶っていうグループ名だった所が気に入ったかな。ドラムに迫力があって。」
「そこは俺も良いと思ったが、確率的にそこは特別優秀賞よりも優秀演奏賞に該当する確率がーーー」

そう言っている間にも高校の部の発表は進んでいく。
観客も勿論、此処まで見届けているものは皆熱心に聞いて湧いたり落胆したりしているが、それ以上にぴりついて居るのは勿論参加した側の方。

競争じゃないんだから一番とか二番とか三番が居るわけじゃないと言いつつ、確かに順番こそ振られないかもしれないが、それでもどこかに光るものがあると認めて欲しいと思うのは、表現者としての人情。

特にプロを目指す志があるグループは内心の焦燥が半端じゃない。
年々レベルと規模が高く大きくなっていると噂されるこのフェスで、何かは賞を貰いたいと思うのはまあ当然の話。

そこへ行くと、中学生の部というのは極めて楽なものである。

先ず今年が初の試みという事もあり、賞が1個しかない。
全部で10の賞がある高校生と違い泣いても笑っても1つだけとなると、あまりの倍率の高さに諦念が先に出てきてしまい、さほど悔しくなくなる。

それからもう一つ。
言いこそしないが、中学生の部が終わりきった時点で、まあツクヨミかビードロズかどっちかだろうと皆思っていた。

逆に中学生の部に対して皆が思っていることは一つ。

ツクヨミか、ビードロズか。
どっちが栄光に輝くのか。

これに関しては割と会場中で意見が割れており、皆の注目の的となっていた。

「ところで皆。」

幸村が徐に切り出した。

「「「「え?」」」」
「実際、どうなんだい?賞について。」
「え。それって貰えそうかって事?」
「ううん。実際に貰える貰えないの話じゃなくて、心情としてどうなのかなと思ってね。欲しいのかい?賞は。」
「決まっているだろう!無論、出たからには上を目指すのがーーーむ!」
「真田、気持ちはわかるが止めておけ。今はビードロズの意見だ。」

確かになあ、と聞いていたテニス部の面々は思った。(真田以外)
ビードロズは演奏することには熱心だしご執心だが、競争意識というか一番になりたい的な意識は割と希薄なように思う。

「しかしお前さんら、残ると即答したんじゃないんか。」
「いや、そりゃあ貰えるかもしれないのにスルーするレベルでどうでも良いとか思ってないわよ。ただまあ、貰えないと悔しいかって言われるとね。」
「悔しいって程じゃねえって感じ?」
「元々、目指せ優勝みたいな感じではなかったですから・・・」
「そもそも優勝っていう概念とはちょっとずれるしなあw」
「確かに、2位とか3位とか居るわけじゃないけどな・・・」
「しかし、それでも賞を貰えると言うことは秀でていると思われた、として差支えはないでしょう。
「まあな。実質優勝みたいなもんだろい。」

頑張った成果としては嬉しい。認められた証だ。
しかし貰えなかったから悔しいかと言われると、それはピンと来ない。
例え賞が貰えなくても、自分達は満足なステージが出来たから。

ただ。
紀伊梨だけは。

「むう・・・五十嵐、お前はどうなのだ。」
「紀伊梨ちゃん?」
「リーダーだろう、お前は!どうなのだ、チームを導く者として。」

千百合は真田のこういう所がマジで怠い、と思っている。
そういうのじゃないんだって、うちのグループはと思う。

ただ、それはそれとして紀伊梨はまだ意見が出ていないのはその通りだった。
普段だったら誰より一番に、紀伊梨ちゃんはねー、で話し出すのに。

因みに紫希と棗は真田に腹を立てたりはしない。
真田がどう言おうと紀伊梨にそんな意識はないし左右されないし、紀伊梨は紀伊梨の思うようにしかしない事をよくよく知っているからだ。

「・・・私ね、」


『それでは続きまして、中学生の部の特別賞の授与に移ります!』


全員がはっとしてステージを向いた。
いよいよだ。
発表される。

『特別賞ーーーー

ーーーーーエントリーNO.3!ビードロズの皆さんです!』


きいいいん・・・と耳が遠くなっていく気がした。