「はあ・・・・」
「・・・そんなにため息吐くくらいなら、声かけたげても良かったんじゃないですか?」
「そういうんじゃねえんだよ!はあ・・・」
項垂れる板谷を前に、伊藤と松岡は顔を見合わせる。
わかっている。
板谷は打ちひしがれているのだ。
まさか本当の本気で特別賞を取るなんて。
しかも成り行きとはいえ、プロダクションの社長からあんな賛辞まで受けて。
羨ましい。
悔しい。
自分が情けない。
板谷がそう思ってる事くらい、伊藤も松岡も分かっている。
ずっと一緒にバンドやってきたもん。
ただ。
(それこそ、ずっと一緒にやってきたのになあ。)
(板谷先輩って、こーいうとこ鈍いんだよね。)
なあ冬次、と伊藤が背中に声をかけようとした時だった。
「よう。」
「・・・あんた。」
「はじめまして、Wednesday。」
安形がにっと笑ってそこに立っていた。