First national convention:Speak out - 4/8


「・・・・・・・」
「駅まで行っちゃうー?ねー、行こーよー。」
「せんで良いってば。」
「どうせ送迎あるでしょw跡部の事だしw」

ビードロズは今、春日家で泊まりの姿勢で集まっていた。


跡部の頼み。
それは、最近何かに追い詰められているらしき可憐の話を聞いてやってほしい、という事であった。


明日全国というタイミングで本当に申し訳ない、という跡部の言葉通り、明日は全国。
なので幸村を始め、選手であるテニス部勢には一切何も知らせていない。

「え、来るんでしょ結局。来るのは来るんでしょ?」
「はい。今日の夕方、今車に乗って向かったところだと跡部君から・・・そろそろだと思うんですけれど。」
「おー!窓から見えるかなー?」
「大丈夫かw家の前にリムジン止まるけど平気かって聞いたかw」
「た、多分大丈夫だと・・・一瞬ですし・・・」
「えー、私一瞬でも嫌だけど。」

なんて言ってる折、とうとうインターホンが鳴った。

「あ!ええと、取り敢えず私は応対しますけど、皆は・・・」
「紀伊梨ちゃんも行「お前は駄目。」えー!?なんでー!?」
「いや、いきなり大人数はびびるかもでしょw」
「今回遊びにきたわけじゃないんだしね。」
「・・・・・・・」

そう。
今日は遊びじゃないのだ。

迎えに行く紫希も、待っている千百合と棗も(紀伊梨はそこまで深く考えていない)、可憐がどういう状態で此処まで来るのかわからない。

「はい・・・あ、」

玄関を開けると、門扉の前にリムジン。
そして足元にボストンバッグを2つ置いた可憐。

紫希を見て、あ、と小さく言う可憐は、友達の家に来たとは思えない、所在のない顔をしていた。

こんにちは。
いらっしゃい。
待ってました。
お疲れ様です。

色々こういう時に常套句があるはずなのに。

「・・・おかえりなさい。」
「・・・う、」

可憐はぽろぽろぽろと涙を零しながら、ただいま、と小さく言った。






部屋に行くと紀伊梨のダイビングいらっしゃいを食らい、泣き。千百合と棗から大変だったね、よくわからんけど沢山泣きなとボックスティッシュを貰ってまた泣き。

ようやっと涙が枯れた頃、紫希の母、雪乃が今日の夕食である親子丼を人数分部屋まで持ってきてくれた。

友達の部屋で、ちゃぶ台2つくっつけて5人でご飯を食べる。
なんだか凄く現実味のない光景である。

「いっただっきまーす!おー、良い匂いー!ねー、おかわりあるー?」
「お前一杯目も食わん内からw」
「多分あるんじゃない。あんたが大食らいっておばさん知ってるし。」
「可憐ちゃん、食べられる分だけで良いですからね。」
「うん、有難う・・・」

れんげで一口掬って食べると、温かさが胃の奥に沁みていく。

ここ数日、こんなにちゃんと「ご飯食べている」という実感を伴って食事したことがあっただろうか。
可憐はしょうがなかったとはいえ、母親に申し訳なくなった。

「ほいでー?」
「何がよ。」
「んぐ・・・可憐たん、何か悩んでるんっしょー?どしたの?」
「紀伊梨ちゃん・・・」
「お前そんなあっさりとw」
「・・・ううん、良いよ。そうやって聞いてもらった方が、私も話しやすいし・・・」

言いながら可憐はれんげを置いた。

何から話せば良いんだろうか・・・とか考えるまでもない。
そう、話そのものは実にシンプルなのだ。

「・・・・馬鹿な事、しちゃって・・・」
「ほ?」
「・・・何か部活で失敗した系?」
「ううん、部活は関係なくて・・・あるっていえば、ある意味あるんだけど・・・」
「ゆっくりで良いですよ可憐ちゃん、」
「ううん・・・・今言わないと、永遠に誰にも言えなさそうだから・・・」

可憐はゆっくり息を吸った。

「・・・・私ね。」
「・・・はい。」


「・・・・忍足君が、好きなの・・・」


可憐はため息と共に涙をまた一粒零した。

悲しいとか情けないとかいうより、これは諦念に似た怯えであった。

言ってしまった。
言葉にして口に出すことで、この思いに形を与えてしまった。

もういよいよ戻れない。
もう二度と、元居た所には。

さりとて向かう場所ももうない、と思うと余計に泣けて堪らないのだが。

「・・・あのさー。」
「・・・・」
「何か全員聞きづらいと思うし俺代表で聞いちゃうけどさ、前会った時に言ってた友達の恋に協力する云々の話は・・・」
「あ、あれはうん・・・そう・・・あの、忍足君の話で・・・」

やはりか。
紫希と千百合の内心ではそういう思いが去来するが、この場でただ一人予想外でしたと心底驚いているのが一人。
紀伊梨である。

「・・・え、待ってね?待ってね?」
「「「「・・・・」」」」
「・・・友達が友達に片思いしてるってゆーのが、可憐たんとおっしーの話だった?って事?」
「あ、違うのそうじゃなくて・・・」
「え、そこ違うのは本当なわけ?」
「うん、あの・・・友達の話って言うと、自分の話だって疑われるのはしょうがないとは思うんだけど。でもそこは本当なの・・・」
「・・・となると、どなたか可憐ちゃんのご友人さんが同じように、忍足君に片思いしていらっしゃる・・・という話ですか?」

ふる、と首を横に振ると、また幾つか涙が零れ落ちた。

そうだったらまだ救いの目もあっただろう。今より1%程度はマシだった筈だ。
それでも僅かすぎて、諦めるには十分だけど。

「・・・誰にも言わないで欲しいんだけど・・・忍足君が、茉奈花ちゃんを、その・・・」

好きで、と言えない気持ちが痛々しくて、隣に座っていた紫希がゆっくり背中を擦った。

さぞや辛かろう、と思う。
よりにもよって、あんなに仲の良い友達とこんな事になるなんて。
網代と忍足を取り合って正面からガチンコ・・・というのもかなり辛い話だが、一方的に見ている側にしかなれないのも身を切られるような辛さに違いない。
紫希はそう思うし、棗もそう思う。

千百合はえげつなさ過ぎてもう二の句がつげなかった。
自分の好きな人が自分のとても近しい友達が好きで・・・という仮定は、千百合にとってあまりにも想像が容易い仮定だった。
きつい。とてもきつい。
普段もしも話で心が動く事なんてないのに、この話に関しては感情移入しすぎて自分まで食欲が失せてしまう。

紀伊梨は。
紀伊梨だけがこの場でただ一人、事態をまだよく呑み込めないで必死になっていた。

「・・・あれ、可憐たんはおっしーが好きっしょ?」
「だから、そうだってさっきから言ってんだろ。」
「確認だってば、ちゃんと聞いてるよ!でさ、おっしーは?まーちゃんが好き・・・?」

こく、と頷く可憐。
その姿が痛ましければ痛ましいほど。


「・・・え、これどーしたら良いの・・・?」


そんなこと可憐が誰より聞きたい。
これに最適解がないから恋愛というのは厄介なのだ。

どうしたら良いんだろうか、本当に。
何をどうしても誰かが傷つくことは避けられまい。
とりわけ、可憐が。

「・・・因みに桐生ちゃん。」
「・・・・・」
「一応ワンチャン期待して聞くけど、網代ちゃんが忍足にそんな気がない可能性はーーー」
「そんなどうでもいい可能性探って何になるんだよあほか。」
「え、何でどうでも良いの!?そしたらさ、おっしーが今は無理でもその内ーーー」
「その内とかきっといつかとか、そんな事解決にも慰めにもならないんだよ。」
「なんで!?」
「いや俺もわかってはいるんだよ、でもさ、」

「あの皆ーーー」

「あのね、ライブのチケットのキャンセル待ちしてるのとはわけが違うんだよ。順番回ってくれば良いってもんじゃねえの。」
「でも回って来ないより良いよ!」
「いやだからね紀伊梨、この場合さ、誰にどのように回されるのかっていうのが結構重要なとこでさ、」

「皆ーーーー」

「そもそも原則次を期待する方がおかしいんだよ。無理なもんは無理なんだよ、先ずそこ認めないと話にならなくて、」
「いや妹お前もさ、言ってることは分かるけどもうちょっと言葉を選んでだな、」
「選ぼうと選ぶまいと現実が変わるかよ。」
「ねー、なんでそんな無理だ無理だなんて言うのさー!そんな事まだーーー」


「皆ちょっと待って下さい!」


ヒートアップしていた3人がはた、と我に返って静まり返り。

紫希に背中を撫でられていた可憐は再びすすり泣きを始めていた。

「・・・ごめん。」
「ごめんなさい・・・・」
「・・・・・・」
「あの・・・皆心配なさってるのは分かるんですけれど、今は可憐ちゃんの話が最優先で・・・可憐ちゃん?」

可憐は首を横に振った。

涙は出てくるけど、頭はなんだかここ数日の中で一番はっきりしている。
思考回路がまた回りだしたような感じがする。

ここでならどんな事を言っても大丈夫。そういう、いうなれば世界の外にいるような安心感故だろうか。

「良いの・・・皆が言ってること、全部最もだから・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・可憐たん・・・」
「・・・・結局、私が馬鹿だったんだよ・・・」
「そんな、馬鹿だなんて、」
「良いの紫希ちゃん、私もう良くわかった。私がいけなかったの、私がもう少し賢ければ、こんな風にならなかったと思う・・・」

何度も何度も考えた。
どうすれば良かったのか。どうすれば避けられたのか。

出る結論はいつも一緒で、結局のところ自身の愚鈍さが一番の原因だったと可憐は思う。

察しが悪く、自覚がなく。
気づける場面は何度も何度もあったのに、気のせいとかで流したり、その場での気分の良さを優先して、未来の自分にツケを回しまくった結果がこれ。

そもそも、こうなるかもしれないとちらりとでも考えてみなかったのが、とても愚かな事。
忍足と網代が似合いの2人だなんて、氷帝テニス部ならおそらくほぼ全員そう思っているだろう。
その上で忍足の傍に居続けておんぶにだっこで甘えまくって、一体自分は何を求めて何をしていたのか。

それが今、やっとわかった気がする。

「私、夢見てたんだ・・・」
「・・・夢?」


「ずっとずっと今のままで居られるって思ってた・・・
・・・ううん、今のままどころじゃない。
私、忍足君がもしかしたら、私を選んでくれるかもしれない、とまで思ってたの・・・」


網代は。
網代茉奈花という少女は、自分にないものを全て持っている。

女子としての美人さ。
ドジをしないそつのなさ。
成績。運動神経。人望。カリスマ性。
テニスの知識に実力。

でも、でも、どんなにスペックで劣っていても、忍足はスペックで人を選ぶような真似はしないから。
それはそう思うとかそういう事ではなくて、今まで忍足と一緒に居て、実感として分かっている事だったから。

だから思った。
網代の持っているものは、今は関係ないんだと。
自分にだって可能性があると思っていた。


そうじゃない。
最初から忍足はスペックなんて一切関係なく、網代茉奈花の網代茉奈花たる部分を好きだった。


そういう男だと、最初からわかっていたのに。

「馬鹿でしょ・・・?馬鹿だよね・・・ひっく・・・」
「桐生ちゃん・・・」
「見ないふりしてたの・・・忍足君が茉奈花ちゃんを好きな事・・・見ないでいればその内消えてなくなるみたいに思ってたんだよ、そんなわけないのに・・・!」

認めたくなかった。
自分に勝ちの目が一切ない事なんて知りたくなかった。

だから見ないふりをしていた。
まともに考えなかった。

可憐はずっとずっと、まともに考えてるように自分を騙しながら、その実まともに考えてなどいなかった。

これは恋愛経験の無さが悪い方向に働いてしまった。
きっとその内、自分の知らない所であの二人の間には告白とか云々があって、そして知らない所でいつの間にか付き合ったり別れたりしてる、くらいの事ではないかと思っていた。

実際、可憐の身の回りで「お付き合い」というのはそういうものであった。
千百合とても、目の前で幸村と恋人らしい甘いことをしている場面を可憐が見たのなんて、せいぜいヘリで送っていった時にハグをしてたのを遠目で見たくらいだ。
あくまで別世界の事として捉えることで、視界からーーー心理的にも肉体的にも、視界から外そうとしてきたし外せると思っていた。寧ろ勝手に外れるもの、とさえ思っていた節もある。

それが、あのフェスの日。
目の前でずっと見ざるの姿勢を取ってきた事をまざまざと見せられて、可憐は急に現実に打ちのめされたのだ。
その冷たい事実はずーーっと目の前に横たわっていた。
それを目逸らしで逃れていただけ。

逸らそうと逸らすまいと、そこにある事には変わりないのだという事を、可憐は先日初めて実感として知ったのだ。

「・・・・・・・」
「自惚れすぎだよね、私・・・」
「うぬ・・・?」
「ええと、自分に惚れていると書いて自惚れと言います。自分で自分の事を凄いと思い過ぎている、みたいな・・・そんな意味です。」
「え、自分の事凄いと思っちゃいけないの?」
「そ、そういうわけじゃないんです!自分の事は好きで良いんですけど、」
「自分が思ってるより自分は凄くないって事だってば。」
「ほーん・・・・」

つまり。
可憐は可憐自身が思うより偉くない、という事か。

「えー、でも可憐たんは凄いと思うけどなー。」
「ううん、私なんて全然・・・茉奈花ちゃんの方が凄いよ。何でも出来るし・・・・ううん、出来るとか出来ないとかじゃなくて、皆から好かれてるもん。恋愛とか置いておいても、リーダー立派にこなしてるし・・・」

網代なら自惚れる資格がある、と思う。
あそこまで色々パーフェクトなら、自惚れたって誰も何も言うまい。

沈む可憐と逆に、紀伊梨は段々複雑な不満顔になってきた。

「・・・でも可憐たんだって凄いよ。」
「・・・まあそれはそう。」
「ううん私は、」
「可憐ちゃん、茉奈花ちゃんと比べてどうか・・・っていうのは、今はおいておきませんか?」
「・・・うん、まあ。そうね。そうしな桐生ちゃん。」

本当は。
可憐は網代と比べたいんだろうな、と棗は思う。

どこか劣ってる所を探したいのだ。
それとこれとは関係ないと分かっているけれど、でも探したい。そうして、自分が敗者になった理由を付けたいのだと思う。

これこれがこうだから、自分は負けて当然だったのだ。
そういう何かが欲しくて探している。これは心の防衛本能だ。

「・・・でも、しんどい・・・」
「・・・茉奈花と比べちゃうって事?」
「うん・・・」

ぽろぽろ、と涙がまた出てきた。

「比べちゃうのもそうだけど・・・私・・・よりにもよって友達に向かって、」
「可憐ちゃん、その点は自分を責めるのを止めましょう?仕方ないですよ、好きなものは好きで・・・どうしようもない、と思います・・・」
「でも!でも私、皆に許してもらっても自分が許せないのっ!私確かに忍足君が好きだけど、茉奈花ちゃんにも沢山沢山お世話になってるんだよっ!なのに私ーーーー私ーーー

ーーー私、茉奈花ちゃんが羨ましくて堪らなくって・・・・!」

もしもだ。
もしも忍足の好きな人が、網代でなくて別の人だったなら、ここまで心は重くなかったかもしれない、と思う。
それは単純に仲が良いからとかそれ以上にーーー網代茉奈花という少女が可憐の理想形だからである。

自分もあんな風になりたかった。
ドジをしないで。部から頼りにされて。
挙句に忍足まで奪っていってしまうのか、と考えてしまう自分が浅ましくてならない。
奪うもへったくれも、網代は何一つ可憐から取ったりしていない。

でも心が勝手にそう考えるのである。
そんな自分が見下げ果てるほどに情けなくて、もう自己嫌悪で今にも潰れてしまいそうで。

「・・・・でも、可憐。」
「千百合、ちゃん・・・」
「人と何かかち合うっていうのは、そういう事だよ。そりゃ忍足が2人も3人も居れば良いのかもしれないけどさ、現実には1人しか居ないのであってさ。」
「・・・・・・・」
「その中で自分が独り占めしようって思うんだったら、それはもう誰ともぶつからない事を諦めるしかないよ。性格的に難しいのかもしんないけど。」

(あ・・・・・)

そうだ、千百合は。
あの幸村精市が恋人なのだ。

常日頃、圧倒的多数の人間と何かかち合っているという意味では、千百合の右に出るものはいなかろう。
幸村は確かに千百合を選んでいるのかもしれないが、それに胡坐をかいたら最後、一瞬で他の誰かにさっと今の立場を奪われるかもしれない。その恐怖は、恋人が居たことのない可憐でも想像に難くなかった。

「ぶつからない事を、諦める・・・」
「・・・まあ月並みだけど、人を好きになるって良いことばっかりじゃないからなあ。」
「・・・どうしてだろうね。」

誰かを好きになるって。
好き、という感情自体は良いことでしかない筈なのに。

「・・・こんなに苦しいなら・・・」
「可憐ちゃん・・・?」
「・・・恋なんてしたくなかった、なーーーー」


「そんな事ないよ!」


紀伊梨の大声に、可憐は涙も止まった。

「そんな事ない!そんな事言わないでよ!恋してるって凄い事なんだから、可憐は凄いよ!」
「・・・・紀伊梨ちゃん、」
「本当だよ!私まだ恋した事ないけど!それのせいで今、アイドルになるの止めろとか言われてるけど!」
「ええっ!?な、なんでっ!?どうしてそんなーーー誰がそんな事言うのっ!?」
「ちょっとありましてねw」
「ほんとマジで、ついこの間の話。」
「仰った方が、プロダクションの社長さんで・・・・」
「プ、プロダクションの社長っ!?」

プロダクションの社長とそんな話する事自体、可憐にとって凄いことだが。しかしそれ以上に。

「・・・紀伊梨ちゃん、怖くないの・・・?」
「怖い?」
「だって、アイドルになれないなんて直々に言われちゃってーーー」

「でも好きなんだもん!」

可憐はぐ、と押し黙った。

「だから!可憐たんは恋が出来ててそれは凄い事なんだから、しないほーがとかそーゆー事は言っちゃ駄目!」
「・・・・・・」
「ダメってあんたね、可憐の苦労も知らないで・・・まあそれ言い出したら私もそうなんだけどさ。」
「まあ苦労の形もそれぞれですからなあ。」
「そうですね・・・皆、何かに悩んでるんですよね。自分が上手くいってない時って、なんだか周りの人皆、綽綽余裕で過ごしてるみたいに見えてしまいますけど・・・・」
「・・・・そっか・・・・」

そうか。
そうなのかな。
皆そうなのかな。こんなに悩んでばっかりで色々上手くいかないのは、自分だけじゃないんだろうか。

「しゃくしゃくって何ー?かき氷食べる時の音・・・あー!ご飯!ご飯食べるの忘れてたー!」
「ああっ!ほ、本当だ冷めちゃってる・・・!」
「あはは・・・温めなおしますね。」
「っていうか、時間がもう結構あれなんだけど。」
「風呂入って出たら紀伊梨とかバタンキューでしょw」

人が沢山いてバタバタしていて。
そんな雰囲気の中に居るのもここ数日では久しぶりで、可憐は漸く顔がほころび始めた。