「・・・・んあ・・・・?」
鳴ってる。
何か鳴ってる。
電話だ。
「誰だよこんな時間に・・・はい。」
『・・・・・』
「・・・あれ?もしもし?もーしもーしー・・・?」
『・・・黒崎やんな。』
「・・・・・!」
棗は心底びっくりして、スマホを落としそうになった。
眠すぎて誰だかわからないまま適当に取ったが、一気に目が覚めた。
誰の声か、なんて画面を確かめなくてもわかる。今日の夜、散々話題にしてたもの。
「・・・え、え、ああおう、俺は黒崎ですけど・・・」
『そっちに、可憐ちゃん居らへん?』
「え、」
来てる、というべきか。
来てない、というべきか。
棗は一瞬迷ったが、自分にかけてきてるという時点で、ある程度察されていることは想像がついた。
「・・・居るよw居るっていうか、まあ今別室だけど。俺男だからw」
『そっちの家居るん?』
「そっちの家っていうかねー、ここ紫希んちなんだよねw皆でお泊りよw」
『さよか。』
「はいw・・・で?何、所在確認?」
『まあ、それもあるんやけど。』
「けど?」
『食事出来とった?』
「へ?ああ、夕飯?うん、結果的に美味しいって言いながら平らげてたから大丈夫じゃね。デザートも食べてたしw」
『ちょっとは笑っとった?』
「え。あー、んー・・・まあそうね、寝る直前は結構普通だったよw」
『ぐっすり寝とる・・・って、別室やとわからへんか。』
「まあでも、寝てるんじゃないw部活後に湘南に移動して慣れない場所で泊りって、良い感じに疲れるでしょw」
『まあな。』
「・・・・なあにどうしたの急にw俺達に預けるのがそんなに心配っすかw」
『いや。おおきにな。』
「・・・・・え、お前は何。体調悪いの?」
『どういう意味やねんな。』
「だって何か凄い大人しいんだもんw」
『俺、してあげれる事が今あらへんさかいな。』
それは。
余りにもそうではなく、そして同時にその通り過ぎる。
忍足が今すぐにでも心変わりすれば、可憐は救われるだろう。
でもそんな事はあり得ない。から。
「・・・明日会ったら、おはようって言ってあげなよ。」
『それは言われへんでもするやん。』
「え、するの?」
『するやろ普通は。』
「いや、お前性格的に、こういう時はほとぼりが冷めるまで放置しておくタイプかと思って・・・・」
『そらまあクラスメイトとかやったらそうするけど。』
「部活メイトにそれは出来ませんかw」
『・・・友達やからな。』
「・・・・・そーですね。」
友達。だからね。
はあ、と棗は人知れずため息を吐いた。
スマホの向こう側にも、隣の部屋にも、どこにも聞こえませんようにと願って。