First national convention:Wings - 5/5


え、と声未満みたいな声が千百合の口から。
どころか、紫希の口からも棗の口からも。
テニス部員でさえ、真田と柳以外はぽかんと口を開けている。

「・・・S、3・・・・」
「うん、そうなんだ。この全国の間・・・少なくとも、一、二回戦くらいまではね。」
「・・・え、それってじゃあ、ゆっきーの試合、」
「うん。必ず回ってくるから、見ていてくれると嬉しいよ。」

そう。
立海は今回の全国大会。

少なくとも序盤、成り行きによっては最後までーーー幸村をS3に据える方向でオーダーを決めた。

「・・・何で、ってのは聞いて良い感じ?」
「全ては話せないがーーーまあ簡単に言うと、俺の分析である仮説が立ったんだ。その立証のために、幸村にはS3に居てもらう。」
「大丈夫なわけ、それは。勝敗結果的な意味で。」
「無論だ。誰が相手であろうと、俺達は勝つ!順番が少々入れ替わったからと言って、どうということもない。」
「まあ、お前さんらの間で順番が動く分にはそうじゃろうな。」

仁王の言うお前さんらの間・・・というのは要するに、三強の間という事である。
この3人がSに当たってるなら、誰が1で2で3だろうとまあ勝つことには変わりなかろう、という意味。

上級生を丸無視している、言うなれば失礼なこの発言は、しかし内心でぶっちゃけ皆思ってる事でもあった。

「まあ、今回のオーダー変更の目的は、幸村をS3に当てたいというより、正確には確実に試合をして貰いたいんだ。その辺りの展開によっては、通常通りS1で出ることもあるだろう。」
「む。しかし、それではDで負けることが前提なのであって、」
「弦一郎、それはもう仕方がないよ。」
「幸村・・・」
「確かに俺達は常勝を掲げているよ。その理念がある以上、負けるつもりで試合なんてしてはいけないけれど・・・全国区ともなると、流石に優勝までずっと三戦で終わらせられるっていう判断も難しいよ。特に学校によっては、オーダーの妙で一勝二勝もぎ取る気の所もあるしね。」

真田的にはそんな搦め手使ってないで正々堂々と来んか!という所だが、そんなもの相手からしてみればそれこそ知ったことじゃない。
どこの学校がそれに該当するとは言わないが、一番可能性が高いのは「勝ったもん勝ち」を理念に掲げるあの浪速の常連校であろう。

「まあ、その辺りの話は一旦切り上げに致しましょう。」
「そうだな・・・先ずは、目の前だよな。」
「まあねwこんな話しといて一回戦で負けたとかになったら洒落にもならんw」
「ふふふっ!いやだな棗、そんな事には絶対ならないって知ってるだろう?」
「まあ正直、わかってるから軽口叩けてるとこはあるw」

この余裕。
この強気。

これが伊達じゃないから、王者立海の名は轟くのだ。

そう、この全国大会でも。
例外ではない。