First national convention:Bye&bye&bye 1 - 3/6


基本的にトーナメント戦というのは強いものが勝って進んでくるので、それに従って勝ち進むごとに相手も強くなっていくものである。

天下の立海といえどそれはもう避けようのない事で、D2は6-4の勝利を納めた。
今見ているD1もそう。


「ゲーム第一佐鳥!3-2!」


「おー!凄い凄い、接戦だよー!さっきも4ゲームも取られちゃったし、強い強いー!」
「こりゃあ1試合くらい落とすかもなあw」
「やっぱり、全国区になるとどこも強いんですね・・・」
「まあ、その分長く見られると思ったら良いんじゃないの。Sまで回ってくるって事だし。」

地区予選からビードロズはずっと通しで、1試合も漏らさず見ているが、その経験を通して思っている事がある。
それは、S3人に対する信頼。Dで幾つ落としても、必ずSで3タテするだろうという安心感だ。

怪我での強制退場という形の敗北を含め、3強は今年の夏、未だ無敗である。
地区予選でD特化型学校に当たり敗北したり、対城西湘南戦ではスナイプの憂き目にあったりと、先輩陣はなんだかんだ敗北の姿を見せるけど、幸村達3人にはそれがない。
基本負けないし、ノックアウトを狙われても平気で返すからだ。

寧ろ、相手を不戦敗に追い込むという意味では、こちら側の方がよっぽどーーーー

「・・・今日の、」
「紫希ぴょん?」

「今日のS3も・・・最後まで出来ないんでしょうか・・・」

千百合と棗が、揃って視線を伏せた。

棗が柳に聞いた返事は、もう他3人に周知されていた。

不戦勝が続いていると思われていることは分かっている事。
そう思われても仕方ない程度には、実際不戦勝している事。
幸村本人もその自覚はある事。
それについて柳が今、ある仮設を立てている事。

そして、今日もおそらく不戦勝するであろう事。

さらっと言ってるが、そもそも不戦勝なんてしようと思って出来るものじゃない。
どうしても意図的にやりたいなら、怪我をさせての強制退場くらいしか普通手段は取れない。

しかし見ていれば分かる通り、幸村は別に誰かを攻撃しているわけじゃない。
普通にテニスしているだけ。
不戦敗を選んでいるのは相手の方だ。

つまり、柳の言ってることと言うのは言ってみれば、この全国の大舞台で「相手に不戦敗を選ばせる」と言ってるも同じ。

どういう事なんだか、3人はさっぱりわからなかった。
そんな事出来るわけがないと思うのに、柳の返事はそうとしか取れない。

やっぱり何かーーー普通では起こらない何かが起こっているような気がする。
そう思って口が重くなる3人とは正反対に、紀伊梨だけがあくまで明るい態度である。

「そんな心配する事かなー?勝ってるし、別にゆっきーが危ない目に遭うわけじゃないし、良いんじゃにゃいのー?」
「そうシンプルに考えられれば楽なんだけどね。」
「えー!何がそんな駄目なのさー!」
「だってお前、不戦勝とか不戦敗とかさあ・・・」
「やっぱり、最後まで勝負できないっていうのはちょっと・・・」
「だってそんなのさー!したいんだったらすれば良いじゃん、しないって言ってるのあっちじゃん!」

それもそうなんだけど、だからこそ今の状況は変なんだってば。

理屈がループしそうになった頃、審判の声が4人の耳に聞こえてきた。

「ゲームセット!ウォンバイ立海大付属、6-3!」

D1も勝った。
これで次はS3。

多分今日も3タテするだろう。幸村なら勝つに違いない。

勝つかどうかよりも、どういう勝ち方をするのか。
今日目が行くのはそこだ。