First national convention:Bye&bye&bye 2 - 1/5



3回戦が終わり、準決勝を控えて、ビードロズはベンチで並んで弁当を食べていた。

テニス部と合流はしなかった。
此処だって試合のあるコートからは大分離れている。コート周辺は選手と観客が入り乱れていて賑やかだが、今はとても静かだ。

紀伊梨を除く3人は、今合流する気になれなかった。
多分、顔を合わせたら聞かずにおれない事は分かっていたから。

紀伊梨は昼食の弁当のおにぎりをほおばりながら、実に軽く言った。

「いやー、勝ちましたな!」
「・・・・・・」
「・・・・まあ。」
「そね・・・・」
「およ?どったの?」

また勝った。
というか、正確に言うと、また「不戦勝」である。

「・・・どーしよーかなー。聞きたいのは山々だけどなあ。」
「今聞いていいものかどうか、迷いますよね・・・」
「全国終わってからにしよ。念のため。」
「???何が?何聞くの?」
「お前は本当に気づかないなあw」
「何がー!」

紀伊梨だけは未だに、幸村の不戦勝率の高さに気づいてない。というより、高いことに気づいているが、おかしいと思っていないのだった。
皆が何を思い悩むことがあるのか、さっぱり分からない。

「なんでー?だって別にーーー」


「勝ってるから良いって、何だよそれ!」


4人はぎく!とした。
タイムリーにも紀伊梨の言いたかったことを引き継ぐような台詞が背後から聞こえてきて、4人はそろりとベンチに座ったまま後ろを振り向いた。


「・・・・!」
「おいあれ、」
「あーーーーーむぐぐ!」
「しー、しー、静かに!」


紀伊梨が叫びかけたのにはわけがあった。
背後には言い争っている2人の少年が居たが、その2人はなんと。

見慣れた立海ジャージを着ていた。

「何やも何も・・・それ以上でもそれ以下でも。」
「勝ちさえすれば良いのかよ!」
「やって、そうちゅう部是やさけえ?」
「それ以前の問題だろ!良いか!俺達2年生だぞ!例え彼奴らに敵わなくても、先輩だぞ!」
「そうけ?」
「は・・・?」
「俺やったらどどこそ勝てるやろで。」
「そういう問題でも・・・あの!なあ!」


「「「「!」」」」


怒鳴っていた方が、怒鳴られていた方の胸倉を掴んだ。
うお、と掴まれた方の少年が呟いたのは、4人には聞こえなかった。

「な、なんしょんなら、」
「うるせえよ!お前何なんだよ!彼奴らの事どう思ってんだ!?立海を自動で優勝まで連れて行ってくれる便利なマシンか何かか!」
「そんなん思うとりゃせんやろが!そもそも俺は別に、立海が勝ちようが負けようがどっちでもーーー」


パアン!


「・・・・・!」
「・・・・う、」
「ああ・・・・」
「うにゅ~!」

良い音が響き渡って、4人は思わず顔をしかめた。

しかし、酷いとはちょっと言いづらい。事情は良く知らないが、今見た場面だけ鑑みても。

ビンタ食らった方の少年は、痛いというよりぽかんとした顔をしていた。
ぶった方はもう、怒りを押さえようとも思っていない顔だ。

「グーで殴らなかっただけ感謝しろ!幾ら強くったってなあ、もしかして部内で一番強くったってなあ、お前なんか居なくても誰も困りゃあしねえんだよ!」

おお。知っとる。
と、口に出したら今度こそ本当にグーが飛んでくるかもしれない、と思うだけの空気を読むスキルは流石に怒鳴られた少年にもあった。

もう何か言う気にすらなれないとでも言いたげに、ぶった方の少年はどこかへ立ち去って行った。

残された少年は、暫くその背中を眺めていたが、やがて頬がじんじんと痛み出したらしく、いて・・・と言って手を頬に添えた。

「あだだだ・・・・ちょお待って、えらい痛いねんけど、えええ・・・・」

彼奴本気でやりおったな・・・というよりは、想定以上に痛いんだけど、自分じゃどうやって解決していいか分からない、という声音で、弱弱しく唸る少年。

彼を見ながら、ビードロズ4人は顔を見合わせた。