First national convention:Brave girl 1 - 2/6


さて3回戦だが、可憐は正直昨日よりは大分気が楽になっていた。
というか、むやみに相手に対して怖いと思わなくなった。

「ゲーム氷帝!2-1!」

今はD2が7-5で終わり、D1に移っている。
ゲーム差で言うと流石に圧勝とは言えないが、それでも勝ち越せるだろうこの感じだと、と多くの者が判断していた。

「今日は勝てそうだな。」

隣で見ていた宍戸が言った。

「うんっ。この分だと、跡部君まで回る前に・・・」
「いや、そういう意味じゃなくてよ。いやまあ、そういう意味もあるけど・・・」
「えっ?」
「・・・準決勝直前で入れ替えとか、そんなに見たいもんじゃねえからな。」
「あ・・・・」

そう。
負けたら入れ替え、の氷のごとく冷たい掟は、別に日程なんて何の関係もない。
選手が仮に3回戦で敗北したら、学校としては勝ち進めてももう準決勝には出られないわけだ。

それこそ士気に関わるのではと一部の部員が囁いては居るが、榊的には勝ち進むごとに敵のレベルが上がっていくのに、負けた者を放置しておく理由こそ無い。

「そういう意味では、S3が若干怖いとこやな。」
「えっ、そうなのっ?」
「ああそうね、あんまり相性は良くないかも、ね。まあ、それでも準決勝に進めない可能性は低いと思うけど。」
「そうなのか?」
「今日の相手の楢川学園は、Dが弱いから、ね。多分D2つは取れるわよ。」
「まあ、それなら跡部がS1で最悪取れればって事か・・・」

そもそも土台回ってきてないだろと言われればそれまでだが、可憐を含め氷帝テニス部は、どうも跡部が負ける図というのが想像しづらい。
関東大会決勝でも立海相手にコテンパンにやられたわけだが、それとて跡部までは回らなかったせいで跡部個人の敗北にはカウントが入ってないのだ。

網代が持っているカルテを向日が横から覗き込んだ。

「S1と2ってどんな奴?」
「2の選手がカウンターパンチャーで、1の選手がオールラウンダーよ。でも、2人とも結構スタミナに難ありなのよ、ね。逆に3の選手はアグレッシブベースライナーで、球が重いもんだから。」
「ああ・・・苦手だよな、浅井先輩。」

(・・・本当に、大丈夫かな・・・)

「・・・可憐ちゃん?」
「!えっ、ごめんなあにっ?」
「いや、顔が暗いさかいどないしたんやろう思うて。今日は勝ってんのにから。」
「あ・・・ご、ごめんねっ。私まだちょっとその、立海戦が尾を引いちゃってて・・・」
「何だよ桐生、また負けると思ってんのか?」
「わ、私だってそんなむやみに負ける負けるってそればっかり思ってるわけじゃないよっ!ないけど、そうじゃなくて・・・こう、自分の見通しに自信がなくなったっていうか・・・私、立海に対してだって、もっともっと対等に戦えるって想像してたから・・・」

可憐は今、要するに自分の見立てに極端に自信がないのだった。
立海と競れると思っていたのに全然歯が立たなかったように、今回も、勝てると踏んでも蓋を開けるとそうはならないのではと思う。自分の逆張りが正解と思ってしまうのだ。

「・・・・・・」
「桐生・・・・」
「・・・まあ、そうね。その手の不安はなかなか消えないものよ。特に一度痛い目を見ると、どうしてもね。」

「ゲーム氷帝!5-3!」

良くも悪くも可憐の心情とは全く関係なく試合は進んでいく。
不安を他所にゲームは重なっていき、氷帝はリードを崩すことはなかった。