First national convention:Brave girl 1 - 4/6


「ごめんねごめんね、ほんっとーにごめんなさい・・・!」
「ええてええて!そないに大した事やあらへんねんし。」

可憐は、謙也に案内してもらってコートに戻る道を歩いていた。

そうだった、今から水道行くところだったんだ、と言ってごくごく自然に水道と真逆の方へ行こうとする可憐に、謙也は従兄弟の言ってた事がようやく腑に落ちた。
ドジだ。確かにこれはドジ。

でも、前会うた時はここまでドジやったか・・・?なんて思う謙也は、可憐のドジ具合と悩み具合が反比例する体質なのをまだ知らなかった。

「それより、まだ昼休みやのに忙しゅうにしとって、氷帝のマネージャーて大変なんやなあ。」
「あはは・・・四天宝寺はっ?マネージャーさん居ないのっ?」
「居るで!でも、昼休まれへん程バタバタはしてへんな。まあ、うちはそこまで言うほど人数ようけ居るわけでもないし、部活はキツいもんやみたいな空気もないしっちゅー話や。」
「へえ・・・・」
「氷帝はあれなんやろ?人数多いんやろ?侑士に聞いてるけど、200くらい居るて聞いたで?そらマネジも大変やろっちゅー話やな。」

やっぱり、同じテニス部でも学校が違うと方針も違う事を、可憐はこういう時しみじみ感じる。
まあ、四天宝寺がどうのというより氷帝が色々特殊なだけかもしれないが。


「その大変なマネジ捕まえてるん、誰や?」


「えっ?」
「あ、侑士!・・・と、」
「やっほー♪謙也君、この間ぶり、ね。」

いつの間にか可憐と謙也は、大分氷帝テニス部が固まっているゾーンの入口まで来ていた。
忍足と網代は2人で並んで座っていて、目の前で弁当とスコアを広げている。

「捕まえてへんわ!迷子なりそうやったから助けたったんやろ!」
「疑わしいわあ。」
「やかましわ!」
「ほ、本当だよっ!私水道に行こうとしてたんだけど逆方向へ行きそうになっちゃって、忍足君が心配してついてきてくれたのっ。」

その、水道と逆へ行きそうになったという一言がどれだけ周りを安心させるか、可憐は知らない。幸運にも。

「寧ろごめんね忍足君っ。これから対戦するって言うのに、手伝って貰っちゃって。」
「可憐ちゃん、ええねんで別に。謙也やさかい、便利に使うたったら。」
「おっまえ、ほんまに・・・!人を暇人か何かみたいに!お前かてレギュラーでも何でもない暇人やろ!」
「お前かてちゃうやん。」
「ふっふーん♪それがや!実は俺は・・・」
「えっ、レギュラーなのっ!?」
「いや、まだちゃうで!でも、新人戦は間違いなして言われてんねん!どや!」

どや顔の謙也だが、これは本当にどや顔をしても良いくらいの凄い事ではある。
所謂西の強豪校は幾つかあるが、四天宝寺中学は間違いなくその一角を担っている。
その中で新人戦に出るということは、引いては来年度のレギュラーとなる可能性が高いとみなされているという事だ。

「そうなのっ!?す、凄い忍足君っ!」
「せやろ!どや侑士!負けを認めるんやったら今のうちっちゅー話や!」
「生憎やねんけど、俺も似たようなもんやで。」
「「ええええええっ!?」」

謙也は勿論だが、可憐もこれには驚いた。
知らなかった。完全に初耳。

「え、いつっ!?監督が言ったのっ!?それとも跡部君っ!?」
「ああでも、最近確かに跡部君、よく皆のデータ見てるな~とは思ってたわ。そっか、もう新人戦の内定出てる子が居るのよ、ね。」
「そ、そうなんだ知らなかった・・・・」

まただ。
またこうやって、網代が気づいている事に気づけない。
どうしてこう、注意力散漫なんだろう。
思わずしょんぼりを態度に出してしまう可憐だが、隣の謙也は従兄弟も来年のレギュラーが射程圏内に入っていると知った興奮で、それどころではない。

「っちゅー事はや!新人戦で、俺ら当たる可能性もーーー」
「それはまあ、勿論あるでしょう、ね。」
「おおおおお!」
「ただまあ、どないしようか思うて。」
「「「え?」」」
「新人戦どないやて言われる事は順当に嬉しいねんけどな。もう一つ、胸を張りきられへんいうか。」
「ど、どうしてっ?」
「せやせや!喜んどったらええやんけ、何をビビっとんねん!」
「ビビッてへんわ。そういう話してるんとちゃうねん、もっと根本的な話や。」
「????」


「俺は、今の俺で新人戦出されても多分満足に試合出来へんさかい。」