First national convention:Complete weapon 1 - 2/6


朝の運動公園前。
ビードロズ達は、早くも強くなりだしている日差しに照らされて、まだ人の少ない運動公園を歩いていた。

「いよいよだなあー・・・」
「今日勝てば・・・本当に日本で一番になるんですね。幸村君達。」
「凄いよねー!」
「・・・・・・」

確かにそうだと千百合は思った。
強い強いとは思っていたが、いよいよ日本で一番が目に見え始めている。
幸村一人の力ではないとはいえ、この夏未だ負けなし。

「でもそんな日本で一番か二番の選手たち捕まえて、決勝戦した日にお泊り会ってどうなの。」
「え、良いじゃーん!お祝いもやろ、お祝いも!」
「確かに、お疲れですよね皆・・・」
「まあでも、あっちから言ってきたわけだからw」
「それもそうだけどさ。」

などと言いながらコートに向かって歩いていると、一人の少年がベンチに座っている横顔が見えた。
うつむき加減の頭。暗い表情。そして、ラケットバッグ。

「あ。」
「あの人・・・・」

「あ、」

彼はビードロズに気づくと、ラケットを持って気まずそうにそそくさとどこかへ走っていった。

「・・・今の方は、」
「誰だっけあれー?あのジャージあれだよね、こないだ試合したとこのっしょー?」
「駿河台中学だっけ。」
「何しにきたのかねw」
「表彰じゃないの・・・って思ったけどあれか。表彰とかは部長が一人で来れば、別に良いのか。」
「それに、ラケットも持ってらっしゃいましたよね?」
「あ!あれじゃないのあのー、こないだのフェスの時みたいなさー!こう、選ばれた人でスペシャル試合的な!」
「ねえよ。」
「み、見たことないですよね・・・」

話を続けながら4人は歩く。

有出中学の彼が何しに此処へ来たのか知らないが、まあおおよそ自分達とは関係あるまい。
大方見学か何かだろう、なんて思っていた。


この時は、まだ。




そしてその数十m後ろを歩く、つば広麦わら帽子+グラサン+マスクの顔隠しセット装備済みの女子。
一条郁である。

(き、来た・・・結局最後まで来てしまった・・・!)

もうこれで通算3日郁は通った事になるわけだが、いつも自分だとバレやしないかどうかが気になりすぎて、バレるバレない以前に超超目立っている事に郁は全然気が付いていない。
まあ気づいた所で、辞められる気もしないのだが。
目立っていても、自分だと気づかれないならそっちの方が良いわけだし。

ああでも。


一条郁は来なかった、と思われるのも、ちょっと惜しいかもしれない。


「・・・・・!」

郁はぶんぶんと頭を横に振った。

これはあれだ。そう。
来る必要もないのに暑い中来てやった事に対して、礼が欲しいのだ。
わざわざ来てくれて有難う、の一言くらい貰っても自分には当然の権利だ。うん、そうに違いない。

苦しい言い訳と知りつつも、郁はまだ自分の感情に折り合いが付けられない。