全国が終わって、本当に本当に間もなくの事だった。
「ねえ可憐ちゃん!明日は大丈夫?何時にする?」
「へっ?明日っ?」
明日って何かあったっけ。というか、何時も何も、明日も普通に部活だけど。
???な顔になる可憐に網代は苦笑する。
「可憐ちゃん、私が1週間前・・・は、ちょっと言い過ぎ、かな?5日くらい前に言った事、覚えてる?」
「・・・・!?!?!?ご、ごめんなさい覚えてませんっ!」
5日前位と言うと、神奈川に行く前。
自分が失意のどん底に居たタイミングである。
正直、あの辺りの数日の事は記憶が朧。あまり思い出したい記憶でもないし。
「ほら、行ける人皆で行こうって言ったじゃない?」
「ど、どこへっ!?」
「うーん、此処まで言っても思い出さない、か。お祭りよ、お・ま・つ・り♪今度は文化祭とかじゃなくて、普通に夜の夏祭りの方よ。」
「・・・・あ!」
記憶が刺激された。
そうだ確かに、そう言えばそんな誘いをかけられた気がする。
あの時はとても行く気になれなくて、でも無理だという理由も思いつかなくて、行けるかわからないと返事をしたんだっけ。
「どう?行けるかしら?」
行ける。
行けない。
行ける。
迷った末に可憐は返事をした。
「・・・うん、行く。」
帰宅してすぐ、可憐は母に声をかけた。
「お母さん・・・」
「あ、お帰り可憐!どうしたの?」
「あの、明日ちょっと、部活終わったら遊びに行きたくってっ!それでその、浴衣を着せて欲しいんだけど・・・」
「えっ!」
え、と言ったのは母ではなく、妹の美梨である。
「お姉ちゃん・・・お祭り行くの?」
「う、うん行くけど・・・なあにっ?」
いや、行けば良いのだけど。
でも、行けるのか。という問いを美梨は飲み込んだ。
姉が自分で行けると踏んで、そう決めたのだ。だから良いのだ、それで。
「・・・ううんっ!行ってらっしゃい!」
「・・・うんっ。行ってくるよっ。」
網代と買った、新品の浴衣。
一度はそのまま忘れ去られるかと思ったが、どうやら日の目を見そうだった。