なんて言って、別れた可憐だったが。
「ふう・・・・」
可憐は神社の敷地から出ることなく、適当な所で休憩していた。
サンダルは下駄に比べ格段に楽になったが、それを差し引いても痛みがきつかった。
もう少ししたらコンビニまで行けるのに、その僅かな距離がきつい。
(もう裸足でコンビニまで行っちゃおうかな・・・いやでも、傷にばい菌が入りそうだし、そうなっちゃったら消毒で済まなくなっちゃいそうだし・・・)
「はーあ・・・」
どうしてこう、やる事なす事裏目に出るんだろうか。
運が悪いとか以前に、そもそも下駄じゃなくてサンダルを買っておけば良かったのに。
深く考えもしないで、履いたことないけどまあいけるでしょなノリで下駄なんか買うから。
(茉奈花ちゃんも、自然にさらっと下駄を買ってたし、ちょっとそれにつられちゃった所もあるかも・・・って、そっか、茉奈花ちゃんも下駄!茉奈花ちゃん・・・茉奈花ちゃんは、でも・・・)
網代は多分、履けるんだろう。
履けると自分の事を知った上で買ったに違いない。
下駄を履けるとか履けないくらいでいちいち考え込んじゃないけない・・・なんて自分を戒めていた時だった。
考えていたからだろうか。
決して見ないようにと思っていた光景に出会ってしまったのは。
「ん?」
「あら、可憐ちゃん?」
「え?あ・・・・!」
忍足と網代。
状況は正に最悪と言っても良かった。
2人が連れ立って手を繋いで歩く姿なんて見たくなかったというのに加え、この足ではどこにも逃れられない。頼むからどこかに行ってくれと頼むしかない。万事休す。
「どないしたん、一人で。」
「な、何でもないよっ!ちょ、ちょっと人に酔って休んでただけでっ!お気遣いなくっ!」
「・・・ふうん?」
「な、何ですかっ!」
「ねえ、可憐ちゃん?」
「はいっ!
「私の記憶が正しければ、その脱いでるパープルのサンダルは、静香のだったと思うんだけれど?」
「え?」
(茉奈花ちゃん・・・!)
そう。
忍足が云々を抜きにして、網代はファッションが趣味なのである。
今日全員集合した時に、網代は自然と全員のトータルコーディネートを確認していた。
そして、他人の靴を持っているというこの状況で、察しの良い忍足が気が付かない筈もない。
「可憐ちゃん、足どないしたん。」
「い、いいえっ!何もっ!」
「そうやって引っ込めとる時点で、自白みたいなもんやで。」
「・・・・・・・」
「可憐ちゃん可哀想だけれど、幾ら可憐ちゃんがだんまりでも、静香に聞いちゃえば一発アウトよ?」
「く・・・・靴擦れっていうか、下駄ズレが痛くなって歩けなくなりましたっ・・・!」
網代の言う事は最もだった。
確かに、自分が一人で黙秘していた所で意味はない。
友人達は聞かれたら直ぐに、靴擦れが酷いの助けてやってと返してくるだろう。
「可憐ちゃん、ちょっと裸足で見せてくれへん?・・・ああ、結構酷いわ。」
「ああ・・・そうね、ごめんなさい可憐ちゃん。サンダルを勧めるべきだったわ。私、自分が平気なもんだからつい忠告を忘れちゃって・・・本当にごめんね。」
「う、ううんっ!茉奈花ちゃんのせいじゃないよっ!私も甘く見てたっていうか、まあ大丈夫だろうって軽く考えてたし・・・」
「まあ取り合えず、どっちが悪いとかいう話でもあらへんさかい。それより、今をどうにかせな。」
「あっ!じゃ、じゃああの、申し訳ないんだけれど、コンビニで絆創膏を持ってきて貰えると・・・!」
本当は頼むべきでないのは分かっているが、そうも言ってられない。
そのくらい足が痛い。多分、今助けて貰えなければ詰んでしまう。
「茉奈花ちゃん、絆創膏持ってへんかった?」
「それなのよ、確か持ってたはず・・・あ。」
「あらへん?」
「ごめんなさい・・・切らしてるわ。消毒薬はあるけど。」
「ほんなら、絆創膏頼めるやろか。」
「はいはい、任せて頂戴。」
「ごめんね・・・本当にごめんねっ。」
「別にそんな大したことやあらへんで。」
大した事である。
可憐にとっては。