Family moments 3:Fate 1 - 3/5


そろそろ帰るかな、なんて思いながらモールを更にぶらついていた時だった。
モール内とモール外にまたがる様にして位置しているテナント。

フラワーショップである。

「・・・へえ。」

結構大きい。
そしてインテリアとの兼ね合い重視らしく、花束向きの花なんかは結構少ない。

とかいう分析が出来る様になったのも、やっぱり恋人が花好きだからこそであろうか。
少なくとも、千百合が一人で花に興味を持つようになる事などほぼないだろう。

「いらっしゃいませー。」

店に足を踏み入れると、まあ実に色んな観葉植物が。
こういうのはガーデニングとは微妙にジャンルが違うので、比較的世話も楽である。

これなら自分でも出来るかな、と思う気持ちもあるが、それはそれとしてそんなにまめな性格していないので、それでも枯らしてしまうかもという気持ちもある。

「・・・お。」

よくよく見てみると、どうやらこの店は親切にも、植物紹介カードの所に育てやすさの目安が書いてある。
初心者向き程星が多いらしい。

(へえ、これ難しいんだ。簡単そうなのに。逆にこっちは星5つになってるけど、ひ弱そうなんだけど大丈夫かな。犬猫飼いの人にNGの植物・・・そういうのもあんのか。)

相変わらず奥が深いというか、考える事多いよなあ、なんて思いながら更に奥に行くと、ポップアップでコーナーが示されていた。

「・・・サボテン。」

なるほど。
確かに比較的簡単と聞いた事がある。
花がなかなか咲かなくてじれったいと思う人も居るらしいが、千百合自身は花が咲くか咲かないかは別に左程気にしないし。
ただ、折角詳しい彼氏が居るんだから、一つくらいはあっても良いかなとかねてから思ってはいた。

サボテンちょっと見てみるか、と棚の裏ですと示されているサボテンコーナーを覗いた。

「あ。」

「ん?」

先客が居た。

うわ。
面倒くさい。

反射的にそう思った千百合は、相手がリアクションしてくる前に、足早にモールの外に出た。

(そうだった、ここ東京だった。)

いやしかし、それにしてもここまでピンポイントな偶然あるだろうか。
東京が生活圏内の知り合いなんて、そこまで人数居るわけじゃないのに。

しかも、友達なら兎も角、友達と言うにはあまりに。
顔見知り未満じゃないか、あの男。

(名前なんだっけ、名前・・・えー、あ。)

不二周助だ。
そうだ、梓がそう言っていた。