Family moments 3:Fate 2 - 4/6


「で?」
「え?」
「叔父さん、結局結婚しないの。」
「うぐ!う・・・ぐぬ・・・・」

夕暮れの帰り道。
千百合は叔父と並んで歩いていた。

んー・・・と言って米助は頭をかき。
はあ、と溜息を吐き。

「結婚したいしたいってあんなに言ってたじゃん。」
「いやまあ・・・いや、結婚したいってのは本当よ!?それは本当なんだけど・・・」
「けど?」
「・・・正直、あんまり自信なくてさー・・・」

千百合は目を見開いた。
ちゃらんぽらんなくせして、自分への自信だけは妙にある叔父なのに。

「なんで。年収はあるじゃん。性格はルーズだけど。」
「そーだよ!それだよ!・・・俺さー、結婚はしたいんだけど。でもほら、結婚って責任が伴うじゃん?」
「取りたくないってか。」
「取れるかが心配なの!こうさー、ちゃんとやれるかみたいな所がさー・・・」
「何、どういう風のふきまわしなの。今までそんなちゃんとした事考えた事なかったじゃん。」
「誰のせいだよ!元はといえばだよ!?お前があんなスーパーマン連れてきて彼氏だとか言うからさー!もー!」
「え、何急に。何か関係あんのそれ。」
「あるよ!・・・何かさー、覚悟完了ってああいう事言うんだなーって感じなんだよねー、お前の彼氏見てると。っていうか聞いてると?会ったことはあんまないけどさーあ。雄一も大概お気に入りだからねー、お前の彼氏君。」
「・・・・・・」

それって。
暗に千百合が幸村にどれだけ深く思われているのか察されると言ってるんだろうか。
一瞬当てつけかと思ったが、この叔父はこんな遠回しな当てつけはまずしない。もっとばっさり言う筈なので、多分何も考えてないのだろう。

「・・・精市が大変そうに見えるって事?」
「あー、そう言えばそんな名前だっけ?彼氏君。いやまあ大変そうっていうかー、俺あそこまで誰かの事好きになれんのかなっていうかー。」

今米助は好きになれるという言い方をしているけど、多分いつものちゃらんぽらんな日本語の一つだろうと千百合は思った。
多分米助は、幸村がいかに千百合を好きか・・・というより、行動として過保護にしてくれているか、を伝え聞いていて、それを指して言ってるのだ。
自分もそこまで誰かに対して過保護に出来るのかなーと言ってる。

まあ、分からんでもない。この叔父は、どっちかというと皆に面倒見てもらいやすいタイプの人間だから。

「・・・・別に。」
「ん?」
「私だって、出会ったその日からずっと精市に構われてきたわけじゃないよ。」

会ってからと言うのなら、千百合は幸村と出会ってから2年は経ってから恋人になったわけで。
更に言うと、恋人になったその瞬間から今まで、過保護具合が変わってないわけでもない。

ゆっくりゆっくり近い存在になっていったのだ。
その間に、関係の名前が変わっただけ。

「取り敢えずお近づきになって、大事に思うのはゆくゆくで良いんじゃない。」
「・・・・・・」
「叔父さん、占いでそれっぽい事言ってたけど、今気になってる人もしかして居るんでしょ。」
「ぎく!いやー、まー・・・ううん、でもなー・・・」
「いけば良いじゃん。持ち前のやかましさで。」
「・・・失敗したら親戚に迷惑がなあ・・・」
「え、嘘何。身内?」
「お前のお母さんのお友達さんですー。結婚式で会ったの。だってさあ、こう、上手くいかなかったら純子ちゃんの数少ない交友関係がさー。雄一にぐちぐち言われるだろーし、向こうも気を遣うだろうし?そもそも逆に気を使われて、好きでもないのに良い顔しないといけないとか、そんな事考えられても俺としては・・・何だよ!」
「あはははははは!あはははははは!」

千百合は大笑いしてしまった。おかしいという理由でこんなに笑ったのは久しぶりかもしれない。

「良いじゃん、アプローチしたら。」
「お前話聞いてたぁ!?だからさ、」
「叔父さんがそこまで気使ってる時点でかなり珍しいから、いけるでしょ。」
「・・・・・・・うーん、」
「駄目でも誰も責めないよ。珍しく真剣なんだし。」
「・・・・そお?行っても良いかなー?」
「良いよ。何かあったら、機嫌がよかったら口利いといてあげる。」
「マジで!?うわ、俺お前にパフェ奢らなきゃじゃーん!」
「パフェは良いよ、欲しくないし。」

ああ、何か。
親戚っぽい会話してるなあ、なんて千百合は思った。

今晩もきっと電話するだろうから、幸村にも今日の事を話そう。
そんな事を考えながら千百合は夕暮れの道を歩く。