Family moments 4:One side 1 - 2/5


可憐の母。
桐生遥。旧姓は会津。

よって可憐にとって母方の祖父母というと、遥の父親である会津朝雄。そして、遥の母親に当たる会津理恵がそれに当たるが。

この、祖母の理恵。
流石と言うべきかやはりと言うべきか、ドジの総本山とでも呼ぶべき女性なのである。

「あ、相変わらずだな・・・」
「あーあ。お祖母ちゃんったら、また散らかしてるの?」
「こ、こら美梨!そんな風に言うと失礼でしょっ!」
「はああ、もう・・・お母さーん!お父さーん!・・・もうっ!勝手に上がるからねー!」

玄関に散乱しまくった空き缶。
これはだらしないのではない。玄関に纏めてあったのを、祖母が蹴とばしたのだ。(その証拠に、空のバケツがごろん・・・と横倒しになっている。)

上がろうにも靴の置き場がなあ・・・なんて思っていると、廊下の奥から祖母の明るい声が聞こえてきた。

「ごめんごめーん!いらっしゃい・・・・わたた!」
「お、お祖母ちゃんっ!」
「お義母さん!駄目ですよ、走って転んだりしたら足を痛めますよ!」
「あはは・・・ごめんねえ、折角来てくれたのにこんな有様で。」
「本当だよ~!大体想像はつくけど、何がどうなってるの?」
「う・・・実はあの、買い物して帰ってきたときに、ついでに家の裏の掃除用具を回収しようと思って・・・そしたら、窓からちょっぴり煙が出てるのが見えちゃって・・・」
「えっ!?じゃあ火の不始末だったの!?」
「お祖母ちゃんもそう思って、慌てて家の中に入ったんだけど・・・それで缶を散らかしちゃったんだけど・・・」
「本当は?」
「・・・・部屋でお香を炊いてるのを忘れてて・・・その煙でした・・・・」
「はあ・・・・」

全員が安堵で脱力した。
一応祖母は命に関わる類のドジはしないが、そろそろ年も年なので、危ないといえば十分危ない。

「お祖母ちゃん、慌てちゃ駄目だよ?おねーちゃんもそういうとこあるけど、しっかり出来てるとこもあるんだから、もっと自分を信じてあげないと。」
「有難うねえ、美梨ちゃん。でもねえ・・・ドジだドジだって言われ続けて、人生久しいからねえ。」
「まあお母さんは私よりドジだもんね・・・っていうか、お父さんは?居ないの?」
「居るわよ?盆栽でも見てるんじゃないかしらねえ。」
「こんなに騒いでるのに、見に来ないんですか?」
「ふふっ!あの人は、集中すると物音とか聞こえなくなっちゃうから。」

(お祖父ちゃん・・・・かあ・・・!)

ぶっちゃけた話をしよう。
ぶっちゃけ。ぶっちゃけ。

可憐は、祖父が苦手である。

嫌い・・・では辛うじてないと思うが、苦手なのだ。兎に角苦手。
いつもつんけんしていて、ストイック。

お高く止まっている、という言い方が正しいだろうか。
こっちはこっちで勝手にやるから、そっちも勝手にしていろ自分は関係ない、みたいなオーラがいつも漂っている祖父なのである。

怒鳴るとかそういうタイプではないが、常に真面目も真面目で冗談一つ通じない。
周りに合わせる気もない。

家族なのに、孤高の老人。
それが可憐の祖父であった。

廊下を歩く家族の最後尾で、可憐ははあ、と小さく溜息を吐く。

「お姉ちゃん、お祖父ちゃんが嫌なの?」

美梨がひそひそと聞いてきた。
そういう妹は、別にさして苦手でもない事も可憐は知っている。

「美梨はよく平気だよね・・・」
「だって、別に何かしてくるわけじゃないよ?おかーさんと違って細かい事ぐちぐち言ってくるわけでもないし、良いと思うな。」
「確かに、別に能動的に何かしてくるわけじゃないけど・・・」

しかしそれでも、余りにも我関せずすぎでは?
と思うのは、可憐自身がどちらかというと、ややおせっかい寄りの性格をしているからだろうか。