(まあ、そりゃあそうよね。)
携帯を見る千百合。
紀伊梨からのグループLINEにて、テニス部にお休みなど無いというお知らせが入った。
5月に地区予選を控えている部としては、GWは最初の正念場である。
只でさえ休みが他校に比べて少ないと言われている立海で、連休が空いている事など望むべくもなかったのだ。
「千百合ちゃん。」
「ん?」
「GW、残念でしたね。予想はしていましたけれど・・・」
「ま、しょうがないわよ。」
恋人が居る身としては、折角の連休なのだから少しはデートとかしたいというのが人情だが、こればかりはもう仕方がない。幸村精市からテニスを取り上げる事なんて出来ない事は、千百合でなくても知っている。
「・・・・ふふ。」
「何よ、笑っちゃって。」
「あ、ごめんなさい。いえ、幸村君とお出かけ出来ないのは残念ですけれど・・・」
「けれど?」
「なんだか今の千百合ちゃん、お仕事の忙しい旦那さんの居る奥さんみたいで。結婚したら、こんな感じなのかな?なんて。」
「なん・・・・もう!」
「うふふ、ごめんなさい。」
赤くなるのに嫌だとは言わない千百合が可愛くて、悪いとは思いつつ紫希は又笑ってしまうのだった。
「連休の話か。」
「ああ、はよ。」
「真田君、お早う御座います。そうです、GW・・・テニス部は、お休み無いんですよね。」
「そうだな。纏まった時間が取れるのだ。使わない手は無い。」
「・・・そうよね。」
分かってる。
よーく分かってる。
「・・・ただ。」
「「え?」」
「5日ある内、1日だけ少し早く終わる日がある。校内整備があるのでな、これは強制だ。とはいっても片づけの時間も含まれるが・・・凡そ15時上がり、という所だ。」
「・・・・・!」
「わあ!」
15時上がり。
部活の道具なんかを家に置いたり、準備も含めるともう少しずれるだろう。
でも。
それでも、僅かでも良い。
時間が取れるかもしれない。
「教えて頂いて、有難うございます真田君!」
「む・・・いや、大した事ではない。部員は皆知っている事だ。」
「でも、早ければ早いほど有難いですよ。これで何か、皆で出来ないでしょうか・・・」
グループLINEで早速知らせる紫希をぼんやり見ながら、千百合は携帯の画面とにらめっこしていた。
ーーーーなんて言おう。