(連休、なあ・・・)
忍足はぼんやり窓の外を見ながら考えを巡らせた。
まあ、部活人間にとって「纏まった休み」というのは、「地獄の始まり」と言っても良い。
一日休みがあるだけでも良しとせねば、と思いつつ。
「なあなあ!」
「・・・ん?」
前方で何やら話していた男子のグループが、徐に忍足の方を向いた。
「お前テニス部だったろ?休みってあんの?」
「一日だけあるわ。4日目やな。」
「あー!」
「駄目だったかー・・・」
残念そうに呻くクラスメイト達。
「なんや、友達でも居ったん?」
「違う違う!」
「いやまあ、友達居る奴も居るんだろうけどさ、俺達の目的は違うんだよ。」
「目的・・・?」
忍足が訝しむ声音で問い返すと、グループの男子は声を揃えて言った。
「「「「網代さん!」」」」
(あーーー・・・・・)
よう声に出してぼやかんかったこっちゃ、と忍足は自分で自分を褒めた。
「・・・出かけたかったん?」
「出かけるっていうか・・・なあ?」
「お近づきになりたかったんだよー!部活してる間は、跡部が全員に目光らせてるしよー・・・」
「まあ、それはそうやろなあ。」
何人たりとも、あの王の眼力から逃れる事は出来ない。
貴重な部活の時間に、マネージャーとお近づきになりたいからなんて理由でほいほい寄って来られては困るのだ。
(しかし・・・入学して1月でこの人気ぶりはなんちゅうか、流石やな)
モテるタイプだろうな、とは思っていたが此処までとは。
これはちょっと予想外だった。
「ッつー事は、休みが被るのは男子部だと?」
「えーと、バスケに、陸上、」
「げっ!陸上もかよ、彼奴チャンスあるんだ、良いなー!」
(んー・・・)
頭を抱える彼らを、忍足は何とも言えない心境で見つめた。
「・・・?何だよ忍足、何か良いたそうじゃん?」
「あ!さてはお前、網代さんの予定を既に知っているな!?」
「お、正解や。」
「マジかよ!」
「え、教えて教えて!な!このとーり!」
1人はわざわざ忍足の隣まで来て、両手を合わせた。
「聞いてどうするん?」
「いや、どうするわけでもねえけどよ。」
「そう!どうするわけでもないが、知っておきたいという心理はある!」
「そんなもんやろか。」
「そうなの!で、何処で何するんだ?」
「・・・映画やけど。」
あー、という声が口々に上がる。
「映画か・・・」
「声かけづれー!ボーリングとかだったら良かったのになー!」
「どうするわけでも無いんやなかったんか。」
「いや、そりゃあまあ、ちょっとはね?」
「ほら、あわよくば的な?」
(あわよくばて、言うてもうてるやん)
正直な奴ら。
まあ、中学生男子なんて大半こんなものだが。
「なあなあ、因みに誰と?とかって・・・知ってたり?」
「あ!お前そこ聞いちゃう?聞いちゃう?」
「いやほら、友達だよ友達!な?だろ?」
「・・・まあ、せやな。友達。」
「ほらー!」
「マネージャーいっぱいだしな!多分あの中の誰かと行くんだろ、予定も合わせ易い」
「マネージャーやないな。」
「「「「「え?」」」」」
嫌な予感。
を、健気にも抑えつつ、1人が聞いた。
「・・・もしかして、選手?」
忍足はニッと笑った。
「俺。」